<新型コロナ>死者が過去最多、体力が奪われやすい人の特徴 「死者増=隠れ感染者増」とは限らない理由は
埼玉県内の新型コロナウイルス感染者の死亡は、1月10日に1日当たりとして発表された人数としては過去最多の29人となり、その後も毎日20人を超える状況が続いている。県の川南勝彦感染症対策幹は「主に高齢者が基礎疾患の悪化により亡くなっている。医療体制がパンクして入院できないという状況ではないが、軽症の人はなるべく医療機関ではなく自宅で療養して負担を軽くしてほしい」と呼びかけている。
県が毎日公表している新型コロナウイルス感染者の死者数は、昨年12月以降増加した。27日には26人となり、それまでで過去最多だった昨年8月の19人を上回った。川南対策幹は「オミクロン株の症状が重篤化しているということはない」としながら、「別の疾患で治療を受けている人が新型コロナに感染すると、熱や倦怠(けんたい)感で食事が取れなくなるなどして体力が奪われる」と基礎疾患のある感染者の死亡が増加している背景を説明した。
県はこれまで、重症者や死亡者を少なくする方針を掲げ、高齢者施設のクラスター(感染者集団)対策などに力を入れてきた。今月17日までには、さらなる死亡者や重症者の増加に備え、66床だった重症病床を91床に拡充した。県医療整備課は「重症者数は急増はしておらず、(同日時点で)39人なので増床により重症病床使用率も5割を切った」と話した。
また、所沢市と伊奈町にある高齢者支援臨時施設を新たにさいたま市岩槻区にも開設。8床を備えており、既存の施設と合わせ計38床で県内各地から入所者を受け入れる。同施設は、通常の宿泊療養施設を利用しづらい高齢の感染者が療養できるよう段差などが少ない環境という。
抗原検査キットでの陽性者が自己申告しない可能性があるため、最近の死者数の増加の背景に申告しない感染者の増加を疑う声があるが、大野元裕知事は17日の記者会見で「陽性者登録をした人の割合は98%を超え、状況の把握はできていると考えている。死亡者が増えたから感染者が増えるとは限らないので、推測は避けたい」と述べた。