関東一円から客が集まる人気、埼玉で注目の「農園」 ピザ屋しのぐ窯で絶品誕生、果物狩り、BBQほかにも
春日部市東部、国道4号バイパスからほど近い場所に広がる観光農園。週末は関東一円から利用者が集まる。野口文夫代表(62)は「お客さんの笑顔を見ることがやりがいにつながる」と話す。
農家の納屋をバーベキュー施設に改装した。利用者は持ち込みでバーベキューを楽しみ、ピザ焼き体験、いろりで炊飯など、アウトドアを満喫できる。敷地内で夏はブルーベリー、冬はイチゴの摘み取り、年間を通じて稲作を体験する貸し農園など、農家から観光農園に事業を拡大した。
野口さんは長年コメ農家を続けてきた。消費者の顔が見えない農業の在り方に疑問を感じていた。「客の顔が見えない。同じ作業の繰り返しで、なんだか修行みたいだった。親父の跡を継いだけど、つまらなかった」
同級生とブルーベリー栽培を共同で始めたことがきっかけ。消費者と直接触れ合うことで農業の魅力を再認識した。「お客さんの笑顔がたまらない。こっち(観光農園)の方が楽しくって」
順調に農園が実現したわけではない。「大変な時は誰かが助けてくれた」。ピザ窯を作ろうと考えていたら、たまたま使われなくなった石材があると声をかけられた。友人の助けもあり、時間はかかったが、本業のピザ屋をしのぐピザ窯が完成した。
栽培したコメを自前の製粉機で米粉に。地元せんべい店で原料として使われている。米粉を使用したピザ生地はパリッとした食感が人気だ。農園でのピザ作り体験はふるさと納税の返礼品に加わった。
都市近郊にありながら、家族や仲間同士が、いろりやピザ窯を囲み談笑を重ねる。子どもたちは小動物と触れ合う。週末は地域の飲食店が敷地内で出店を構え、来園客と交流を深める。忙しい週末は、野口さんの同級生や近くの仲間が農園を支援。野口さんの農園に懸ける情熱や温もりに吸い寄せられるように人が集まる。野口さんは「人は火に癒やされる。火のある所に人は集まるって聞いたことありません?」と頬を緩めた。
■野口文夫代表の話
お客さんの笑顔を見ることで、自分が楽しくなれるということが分かれば、農業の可能性はもっと広がると思う。
■所在地
春日部市立野724の1
電話080・4357・0096