埼玉新聞

 

救急出動が急増8万件超に…さいたま市で初めて 「コロナ」搬送2・9倍 救急車の居眠り運転せぬよう努力

  • 【ちなみ】救急車=事件事故イメージ

    さいたま市、救急出動8万件超え コロナ拡大影響21%増

  • 【ちなみ】救急車=事件事故イメージ

 さいたま市消防局が2022年の1年間に救急出動したのは8万365件で、前年より1万3925件(21%)増加したことが、市消防局の統計で分かった。01年の同市誕生後、過去最多を記録し、初めて8万件を超えた。市消防局救急課は「新型コロナウイルスの感染拡大が影響した」と分析している。

 市消防局の22年統計(概数)によると、救急出動は13年から9年連続で6万件台を推移。コロナの感染確認直後の20年は、緊急事態宣言や受診控え、外出自粛で、前年から10%減の6万2457件だった。21年は6万6440件と増加し、22年は一気に8万件を超えた。事故種別では、「急病」が最多の5万5008件で、前年より1万1326件増加した。「一般負傷」は1756件増の1万1662件、「交通事故」は105件増の4168件だった。

■感染疑い2・9倍に

 救急搬送人員は前年より8563人増の6万5397人。このうち疑いを含むコロナ関連は6209人で、前年の2151人から約2・9倍と急増している。年齢区分別では、65歳以上の高齢者が3万5793人と55%を占めた。

 救急出動、救急搬送人員の大幅な増加について、同課は22年に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がなかったことを挙げ、「コロナへの警戒感が薄れ、人の流れが増加したことによる感染拡大が要因」と分析。夏は感染拡大の第7波と熱中症、冬は第8波が大きく影響したとしている。

■救急隊員に負担

 東京都昭島市では昨年12月、救急車が横転する交通事故が発生した。救急隊員らが17時間連続で出動し、居眠り運転が原因とされる。さいたま市消防局は同事故の発生前から、1日の救急出動の目安を6件とし、交代したり、救急車に乗車可能な消防隊員が支援するなどして対応。同課は「隊員の疲労度を見ながら、柔軟に対応している」としている。

 救助出動件数は前年より108件増の985件。事故種別では、「建物などによる事故」が581件で最多、「火災」151件、「交通事故」85件と続いた。救助活動件数は104件増の645件。救助人員は49人増の413人。

■火災件数は306件

 出火件数は306件で、前年より6件増加した。建物火災が192件で、うち128件が住宅火災。車両火災が26件、看板やごみなどその他の火災が88件だった。出火原因は、疑いを含む放火が53件と最多で、次いでたばこ43件、こんろ30件、配線器具28件、電気機器21件。

 火災の死者は6人で、前年より5人減少し過去最少。いずれも住宅火災で65歳以上の高齢者だった。死亡火災5件のうち4件が、住宅用火災警報器が未設置か維持管理が不適切だった。1件は不明。市消防局予防課は警報器の設置や適切な管理を呼びかけている。負傷者は52人で、うち住宅火災による負傷者は39人だった。

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