経費大幅増も…突然の樹木伐採から1年超、蓮田・黒浜緑地で工事再開へ 市民「何のためのアンケート」
蓮田市所有の斜面林が広がる「黒浜緑地」を伐採することに地域住民が反対した問題で、市は一部地域の工事を再開した。安全確保を優先するもので、緑地化の工事は市民の合意を得て進める。市は昨年末からアンケートを2度実施。1年以上工事が遅れ、大幅な経費増も想定されるという。
黒浜緑地は同市藤ノ木地区に帯状に広がる1・1ヘクタールの斜面緑地。市は木々が成長し安全面に不安があると、2021年から緑地を伐採、コンクリートで固める予定だった。近隣住民が緑地が奪われると反対。市は計画を見直し緑地化を進める意向を示した。
市によると、今回の一部工事は、既に植栽が伐採された3号緑地を部分整備するためだという。砂土の飛散防止や安全性を高めるため、斜面の角度を整え表面を保護、フェンスなどを設ける。年度内に終える見込み。本格的な緑化は、住民と協議し進める。
市みどり環境課は「工事はあくまで部分的なもの。緑化は先の話で年度をまたぐ」と方針を示した。
部分工事を進めるに当たり、経費も大幅に増額。1年以上にわたり工事が中断したことで現場の維持管理費がかさんだ。安全面に配慮し整備を拡充するなど経費も増えた。当初21年度、計上していた約9千万円の予算を繰り越し、補正予算を追加。部分工事までで約1億円かかる。次年度以降予定する緑化の経費は新年度予算で対応するという。
一方、市は昨年末、黒浜緑地の整備に向け住民にアンケートを実施。その結果に対するアンケートを再び実施した。2度にわたるアンケートを行った経緯について「1回目のアンケートを市が読み取った結果と住民の考えがかけ離れていないかを確認するため。今後こちらで考えた絵図面を市民の方に見ていただき、高い合意をとれた状態で工事を進めたい」としている。
3号緑地は木々が伐採され、長期間ブルーシートで覆われていた。近くに住む住民からは、砂土が舞い庭にたまる、大雨で土砂が流れないか不安、高台からの視線が気になるなどの意見が寄せられていた。
昨夏説明会が開かれ、年末にアンケートを実施、年明けに一部工事が始まり、住民は「行政の動きが鈍い」と不満を口にする。3号緑地近くに住む男性は「何のためにアンケートを2回も行うのか。住民にとって、行政への不信は募るばかりだ」と首をかしげている。