恐怖の強盗、おびえる人々…ビバホーム問い合わせ殺到、防犯グッズ4倍売れる セコムは問い合わせ5倍に
埼玉を含む関東地方を中心に住宅強盗が相次ぎ、県内のホームセンターなどでは防犯用品の需要が高まっている。窓ガラスの強度を補う防犯フィルムなどは約4倍も売り上げ、問い合わせが殺到。事件を契機に防犯意識も高まっている。住宅などの防犯対策を専門とする総合防犯設備士は「犯人を住宅に寄せ付けない環境整備が重要」と対策を呼びかけている。
さいたま市西区では1月12日、80代の女性が1人で暮らす住宅に3人組が侵入し、女性の手足を粘着テープで縛った上で、現金28万円と通帳1冊、キャッシュカード3枚を奪う強盗致傷事件が発生。大宮西署によると、3人組は窓ガラスを割って住宅に侵入していて、各地で発生している強盗事件も手口が似通っている。
住宅警備などを行うセコムへのホームセキュリティーに関する問い合わせは1月20日以降、通常の5倍に増加。同じく綜合警備保障(ALSOK)も例年と比べて3倍の相談が寄せられたという。
ホームセンター「ビバホーム」を運営するアークランズによると、強盗事件が相次いだ1月中旬以降、県内を中心とした同店107店舗で防犯用品の売り上げが増加しているという。
数ある防犯用品の中でも好調なのは、窓ガラスの強度を補う防犯フィルムなどで、先月20~22日の3日間で前年同期比の約4倍売り上げた。客からの問い合わせも多く、品薄で入荷が遅れている商品も。担当者は「事件関連の報道が多くなった1月中旬から需要が高まった。防犯への意識の高まりが数字に表れている」と分析する。
では、実際にどのような対策が効果的なのか。住宅などの防犯資機材に関する専門知識を持ち、コンサルティングなどを行う総合防犯設備士で県防犯設備協会の山田智典会長は「犯人を近づけさせない環境をつくる」ことの重要性を訴える。
山田会長によると、犯人は夜間に短時間で見通しの悪い場所から室内に侵入し、犯行に及ぶ傾向が強い。対抗措置として防犯フィルムのほか、センサーライトや窓サッシに取り付ける補助錠などが有効で、特に地続きとなっている住宅の1階部分に重点を置いた対策を指摘する。
住宅敷地内の整理整頓など、管理の手が行き届いていることを対外的にアピールすることも有効だ。敷地内が荒れていると、犯人は住人の気が緩んでいると捉えることもあるとし、山田会長は「見落としがちだが設備のハード面だけでなく、心理的なソフト面も同時に対策することで犯行しづらい環境が整う」と力を込める。
基本的な防犯対策については同協会の全国組織「日本防犯設備協会」のホームページでも紹介されているほか、県防犯設備協会ホームページ内の「お問い合わせ」欄からの相談も受け付けている。