新型コロナウイルスの「5類」移行に伴う感染防止対策として、政府が卒業式のマスクの着脱についての考え方を示したことを受け、県教育委員会は13日、卒業式で児童生徒や教職員は「マスクを外すことを基本」とする方針を、市町村教育委員会や県立学校に通知した。学校による着脱の強制や、着用の有無による差別、偏見がないよう、指導を求めている。

　県教育局保健体育課などによると、通知では政府の方針通り、壇上から一定の距離を保つことができる式辞や祝辞、卒業証書授与など、式典全体を通してマスクを外すことを基本とした。合唱や複数の児童生徒が声を出す「呼びかけ」の際は着用する。参加人数の制限はないが、保護者や来賓はマスクを着用し、触れ合わない程度の距離を確保する。

　県立高校全日制の卒業式は3月8～16日を中心に実施される。2023年度からの学校のマスク着用については、政府が「着用を求めないことを基本とする」方針を示しており、今後通知される予定。

　県ではこれまで、学校生活における近距離の会話や発声、音楽の授業の歌唱ではマスクの着用を徹底。場面に応じためりはりある着脱を推奨しており、屋内でも会話がなく、人と人の距離が確保できる場合は着用不要としていた。

　同課はマスクの非推奨について「しっかりと保護者や子どもに説明できるエビデンスが必要」と考えを示しており、「要望はしていたが、残念ながら示されなかった」と話した。

■知事の13日会見

　10日付で文部科学省から通知が行われました。卒業式の教育的な意義を考慮し、児童生徒や教職員はマスクを着用せずに出席することが基本と示されたと理解しております。まず歓迎しており、子どもたちがマスクを外して笑顔で式典を迎えられることは喜ばしいことだと思います。ただ、科学的なエビデンスを示してほしいとお願いしてきた経緯があります。卒業式だけ特例として前倒しになることは私には科学的エビデンスが見えていないので、なぜ卒業式はいいのか、保護者、先生、来賓、子どもたちにも分かる形で説明していただくことが一番望ましかったのではないかと若干留保せざるを得ない部分かなと思います。