ぎゅっと酸っぱいミカンでクラフトコーラ製作 ときがわの「福みかん」で大学生ら 埼玉県・ふるさと支援隊
山間地域の農業や伝統の維持のため、大学生のアイデアを活用し地域活性化につなげる県の「ふるさと支援隊」事業に、新座市の十文字学園女子大学人間生活学部食品開発学科の渡辺研究室を中心とする研究グループが本年度初めて活動に参加した。大学生14人はときがわ町で栽培されているブランドミカン「福みかん」を用いたクラフトコーラを製作。ミカンの香りとコーラの甘さが混じったさっぱりした味に仕上がった。2010年から行われているふるさと支援隊は希望する県内の大学に委託する形式で、期間は1~4年間。これまでに20大学のゼミ活動などで51のふるさと支援隊が結成され、13市町村で活動している。
■爽やかな味、程よい甘さ
十文字学園女子大の学生たちは昨年4月、手分けして県内の山間地域で作られている特産品を調査。ときがわ町では、福みかんと呼ばれる小ぶりで酸味が凝縮された福来(ふくれ)みかんが栽培されていることを知った。
学生たちは福みかんを生産する町内の大附みかん園や町役場を訪れ、打ち合わせを重ね、ミカンの酸味と相性の良いクラフトコーラを作ることに。町内で手作り飲料を製造する「ときがわブルワリー」と開発を進め、町民からも意見を聞いた。11月には学生らで福みかんを約100キロを収穫。作業のリーダーを務めた3年生の前原一葉さんは「実が小ぶりで、大量のミカンが必要なので苦戦した」と振り返った。
完成したコーラは福みかんと、毛呂山町産の桂木ゆずの爽やかな味が特徴。シナモンやクローブなどのスパイスもブレンドされ、程よい甘さになっている。前原さんと共にリーダーとして活動した3年生の宮本京香さんは「ミカンの香りが口の中に広がりさっぱりとするので、マスクで口が乾いたときにもお薦め」とアピールする。
■加工食品や美容製品にも
コーラ研究家としてクラフトコーラに関する本などを書いている空水りょーすけさんは福みかんコーラを試飲し、「ミカンの香りとコーラの甘さが混ざり、老若男女を問わずに飲める。クラフトコーラを使った地域活性は前例があるが、学生がやるのは素晴らしい」と評価した。
学生たちは発売した2月1日、県の農業フェアにも出展し小売業者に福みかんコーラを紹介した。プロジェクトの責任者の渡辺章夫専任講師は「学生たちの頑張りで、コーラを店に置きたいという声も多かった。生産可能な範囲で販売していきたい」と話している。
福みかんコーラは十文字学園女子大の売店に並び、ときがわ町のJA直売所などでも販売される予定。1本200ミリリットルで350円。来年度は福みかんを使用した加工食品や、若者に人気のあるかんきつ類使用の美容製品にも挑戦するという。
製品に関する問い合わせは、同大学広報課(電話048・477・0555)へ。