埼玉新聞

 

<熊谷小4ひき逃げ>同じ痕跡、車1台では難しい…専門家が再現実験 複数の車の関与、改めて指摘

 熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件で、専門家が23日、事故の状況を再現した実車実験を行った。事前に作成していたシミュレーションと矛盾がないかを確認し、改めて複数の車が関与している可能性を指摘した。

 実験は熊谷市内で実施された。現場の道路状況に合わせて、中央線に見立てたラインやダミー人形、現場に倒れていた自転車などを設置し、事故当時の状況を再現。実際に車を走らせて、衣服にどのような傷ができるかなどを確認した。

 宮城県警の元警察官で現在は仙台市で交通事故の調査会社を経営している佐々木尋貴さん(55)は、衣服を着せたダミー人形にできた傷を見て、「孝徳君の着衣に残されていた痕跡が間違なくできることが分かった。実際の着衣にあった傷と矛盾しない」と説明。また、改めて複数の車の関与も指摘し、衣服の傷や自転車が路面を擦った痕などから「同じ痕跡を残すには車1台では難しいと考えられる」とした。

 実験によると、孝徳君は後方から車に追突され転倒し、その後、対向から来た別の車が、対向車線側に飛ばされていたリュックなどを避けようとして走行した際に、頭部をひいた可能性があるという。

 孝徳君の母親は「事故の状況や複数台関わっていたことなどを確認する時間になった。未解決の事件があることを多くの人に知ってもらい、犯人には自首してほしいです」と話した。

 母親はブログ(https://ameblo.jp/kosekitakanori/)などで情報提供や署名活動への協力を呼び掛けている。

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