埼玉新聞

 

パワハラやいじめ…「職場の人間関係」3年連続で最多 18年度の県労働相談、件数は4年ぶり減少

  • 埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 県は2018年度の労働相談状況をまとめた。上司からのパワーハラスメント(パワハラ)や同僚からのいじめなど「職場の人間関係」に関する相談は、前年度比130件(14・3%)減の782件となったが、3年連続で相談項目別のトップとなった。

 5月には企業にパワハラ防止策を義務付ける労働施策総合推進法改正案が可決、成立。県は「(ハラスメントは)当事者間だけでなく会社全体の問題。安心して働ける職場でないと生産性や企業の成長などに影響し、不利益を与えかねない」としている。

 県労働相談センター(さいたま市浦和区)に寄せられた18年度中の相談件数を集計。相談件数は前年度比495件(8・3%)減の5477件で、4年ぶりに減少。

 相談内容で最も多かったのは「職場の人間関係」で全体の14・3%に当たる。「賃金」643件(11・7%)、「退職、退職金」635件(11・6%)、「労働時間、休日・休暇」442件(8・1%)、「解雇、退職勧奨」417件(7・6%)と続いた。

 県雇用労働課によると、職場の人間関係に関する相談事例として、製造業の男性から「上司から長時間執拗(しつよう)な叱責を繰り返し受け、その上で仕事を取り上げられたことで体調を崩し、仕事に行けなくなっている」という悩みが寄せられた。

 改正労働施策総合推進法では、企業に対してパワハラ防止の措置を取ることを義務付け、従わない企業には厚生労働省が改善を求める。悪質なケースでは、厚労省が企業名を公表することもある。

 義務化の時期は早ければ大企業が20年4月、中小企業が22年4月からの見通し。県は従業員や使用者らを対象にした労働セミナーでハラスメントに関する講座を設けるなど、啓発に取り組んでいる。

 県労働相談の相談者の内訳は、正規労働者が2471件(45・1%)、パートタイマーなどの非正規労働者が2225件(40・6%)で、使用者は145件(2・7%)。相談方法は、電話が4844件で全体の88・4%を占め、来所が316件(5・8%)、電子メールが314件(5・7%)だった。

 相談電話は、県労働相談センター(電話048・830・4522)へ。

ツイート シェア シェア