凶悪犯に「判決」下す裁判官、緊張の瞬間とは…他人事でない高校生恐怖 1人で「判決」背負う必要ない理由
県立越谷北高校(越谷市)の新聞部は、さいたま地裁の現役裁判官にオンラインでインタビューを行った。成人年齢引き下げにより、18、19歳も裁判員に選ばれる可能性があることから、裁判員制度を中心に取材を実施。今回取材した内容は、特集記事として、学期ごとに1度発行する「越谷北高新聞」に掲載し、裁判員制度について発信する。
「裁判員はどのくらい発言しますか」。放課後、部員らは、同地裁第1刑事部の秋保春菜裁判官にオンラインで取材を行っていた。事前に書籍などで知識を入れ、事前に出た疑問を中心に約40分間、秋保裁判官に質問した。
取材は、同部2年田中沙和さん(17)、1年日野水葉さん(16)、内山陽介さん(16)が担当。同地裁への取材交渉も自らが電話で行い、実現した。ネットニュースで18歳も裁判員に選ばれる可能性があるという記事を見て、田中さんは「裁判員に怖いイメージがあったので、生徒にプラスに考えてほしい」と思い、裁判員について取材を始めたという。
3人は事前に校内で、裁判員裁判に参加したいかどうかを問うアンケートも実施。生徒からは精神的な負担などの理由から、否定的な意見が多く聞かれたという。
インタビューで3人は、判決を下すことに恐怖はあるかと質問。秋保裁判官は「“主文”と言うときは本当に緊張する。裁判員裁判では、チームとして話し合った上での結論なので、1人で背負う必要はない」と口にする。今年から裁判員選任の年齢が18歳に引き下げられたことについての意見を聞くと、「大人と若い人の意見は違う。より幅広く議論できるのが楽しみ」との回答が得られた。
最後に、裁判員に選ばれる可能性のある高校生にアドバイスを求めた3人。秋保裁判官は「社会に出る第一歩として怖がらずにできればいい経験になるのではないか。われわれも若い人の意見を楽しみにしている」と語った。
インタビュー後、田中さんは「選ばれても緊張する必要はないと思った。裁判員はいい経験になるということを記事で知らせたい」と力を込めた。
越谷北高新聞は3月、全校生徒などに配布されるという。