埼玉新聞

 

暴力団38人摘発、埼玉で28億円超の被害出した特殊詐欺 じつは4億円超の増、闇の勢力が活発化した理由

  • 特殊詐欺、コロナ前の水準に

    特殊詐欺、コロナ前の水準に

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 埼玉県警が昨年1年間に認知した特殊詐欺被害の件数(暫定値)が前年比305件(28・2%)増の1387件で、2年連続で増えたことが28日までに、県警のまとめで分かった。被害額も28億1102万円で4億3751万円増加した。「おれおれ詐欺」とキャッシュカード被害が急増し、被害件数は新型コロナウイルスが流行する以前の2019年(1459件)と同じ水準に戻り、県警特殊詐欺総合対策本部は「テレワークなどが減り、高齢者が1人で在宅する時間も増えたことで、犯行グループの活動が活発化したからでは」と分析する。

 同本部によると、内訳はおれおれ詐欺が132件(31・2%)増の555件で全体の40・0%を占めて最多。被害額は1億8053万円増の15億5479万円で、全体の55・3%に上った。

 キャッシュカードをだまし取る「預貯金詐欺」は91件(50・0%)増の273件、キャッシュカードをすり替えて盗む「詐欺盗」は76件(46・3%)増の240件と、いずれも大きく増加した。二つを合わせたキャッシュカード被害は全体の37・0%で合計した被害の増加額はおれおれを上回る2億4833万円だった。

 「還付金詐欺」は8件増の252件で、被害額は5693万円減の3億459万円。「架空請求詐欺」は5件減の61件で、被害額は6630万円増の2億6045万円だった。全体の被害者は65歳以上の高齢者が94・9%、女性が77・4%を占めた。

 摘発件数は30件(6・4%)増の501件で過去2番目に多かった。摘発人数は11人(6・2%)増の189人で、役割別では「受け子」が155人で82・0%を占めて最多。他は「出し子」が11人、「見張り役」「リクルーター」「かけ子」が5人ずつだった。少年は42人で全体の22・2%となり、暴力団構成員などは38人で21・1%を占めた。

 犯行拠点の摘発は1カ所。昨年3月に越谷市の一戸建てを摘発し、今年にかけて「かけ子」と「あっせん役」の男計5人を逮捕した。

 水際の未然防止件数は327件(17・3%)増の2215件で過去最多を2年連続で更新。防止金額は1億6772万円(13・1%)増の14億4507万円だった。

 内訳は、コンビニエンスストアが533件(前年比24件増)で、金融機関が438件(同22件増)。中でも家族や知人などによる水際防止が748件(同129件増)で大幅に増加した。同本部は「高齢者の子や孫世代への広報啓発活動により、特殊詐欺被害防止への意識が向上した」と成果を強調した。

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