無差別殺人に興味…複数の刃物持ち、白昼の正門から侵入 戸田の中学校襲撃、容疑の17歳少年を送検
埼玉県戸田市美女木の市立美笹中学校で男性教員(60)がナイフで襲われ、重傷を負った事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された、さいたま市浦和区に住む高校生の少年(17)が複数の刃物をバッグに入れて校舎に侵入していたことが3日、捜査関係者への取材で分かった。防犯カメラには少年が正門から入る姿が映っていて、襲撃に至った詳しい状況を調べている。県警は同日、少年を殺人未遂容疑でさいたま地検に送検した。
事件が起きたのは1日午後0時20分ごろ、少年が戸田美笹中学校の校舎3階の期末試験中だった1年生の教室に侵入。制止しようとした男性教員と廊下でもみ合いになった際にナイフで腕など上半身を複数回切り付け、大けがを負わせた。
捜査関係者によると、少年は学校まで自転車で移動し正門から校内に入ったという。正門の門扉は閉まっていたが無施錠の状態で、少年とみられる人物が正門から侵入する様子が防犯カメラに映っていた。少年は校舎3階に移動。犯行に及んだ後に男性教員4人に取り押さえられた。県警は男性教員を切り付けたナイフのほかに、予備で所持していたとみられる複数の刃物が入ったバッグも押収した。
捜査関係者によると、少年は無差別殺人に興味があったという趣旨の供述をしているという。複数の刃物を用意したことに加え、昼の時間帯を狙った理由については「確実に学校がやっているため」と説明しており、計画的な犯行とみて、捜査を進めている。
隣接するさいたま市では2月に学校や公園などで切断された猫の死骸や体の一部などが見つかる事件が相次いでいる。捜査関係者によると、少年は猫虐待について、関与をほのめかす供述をしていて、関連を調べている。
■不審者対策の周知徹底を通知 大野知事と高田教育長
埼玉県戸田市の中学校で発生した教員切り付け事件について大野元裕知事は3日、「生徒に大変怖い思いをさせ、保護者に心配をおかけしたことは知事として誠に遺憾」と述べた。
県内では昨年10月にも、日高市の中学校に竹刀を持った不審者が侵入し、生徒がけがをする事件が発生しており、大野知事は学校での事件が続いたことを「卑劣な事件を非常に残念かつ重く受け止めている」とし、「身をていして生徒の安全を守った先生方に対しては改めて敬意を表し、けがをした先生の一刻も早い回復をお祈りする」とも述べた。
また、高田直芳県教育長は同日の県議会文教委員会で「改めて各学校の安全管理体制の見直しを図り、県警察とも連携して再発防止に努める」と報告。各市町村教委、全県立学校に対し、不審者侵入防止対策と、侵入した際の対応を再確認し、全教職員に周知徹底するよう通知したと明らかにした。