埼玉新聞

 

<川口いじめ>元生徒をネットで中傷したのは同級生の父…和解へ 弁護士が批判も 母親、炎上の原因語る

  • 中学校名を明記したネットの「掲示板」では虚偽の事実が匿名で大量に書き込まれた。写真は2017年10月の書き込み

 川口市立中学校でいじめを受け不登校になった元男子生徒(16)がインターネットの掲示板に実名や中傷の書き込みをされたとして、投稿者1人に対して90万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が8日、さいたま地裁(日下部祥史裁判官)であった。

 元同級生の40代の父親が答弁書で、投稿者と認めた上で請求棄却を求めた。父親は答弁書で「深く反省し心からおわび申し上げる」ともしている。

 被告側は「話し合いによる解決を希望する」としたことから、原告側もこれに応じ、今後は法廷の場で和解の話し合いを行うことになった。

 原告代理人の荒生祐樹弁護士は「被告側は加害者のために書き込みをしたなどと意味不明のことを述べている」などと批判した。

 ネット掲示板で実名や中傷の書き込みがされた問題で元男子生徒は、発信元の公開を情報会社3社に求める裁判を起こし、2018年12月に東京地裁は「プライバシーの侵害があった」と認め4件3人について発信元の開示を命じる判決を出した。

 うち2人はこれまでに和解し、残る1人を被告として提訴していた。

 元男子生徒の母親はこの日、「ネット上のいじめが炎上した根本の原因は学校や市教委が保護者会で虚偽の説明を繰り返したことにある。炎上拡大を防ぐ対策を怠ったことの責任は重い」と話した。

 元男子生徒側は、学校や市教委を相手に対しても損害賠償を求めて提訴している。

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