長蛇の列が連日!時間制限なしイチゴ狩り食べ放題 秩父の農園、人気維持し60周年 開園1時半前から客
埼玉県秩父市蒔田の「中蒔田・富田農園」が3月で60周年を迎えた。5日に同園で記念イベントが行われ、農園関係者や大勢のイチゴ狩り観光客らが祝福した。園主の富田正明さん(51)は「イチゴ農園を確立した先祖と、毎朝、県内外から足を運んでくれている方々に感謝したい。これからも親子3代で秩父地域のイチゴ狩りと観光を盛り上げていく」と気持ちを新たにした。
同園は、正明さんの父・幸寅さん(81)が、米や野菜などを育てていた田んぼにビニールハウスを建て、イチゴ農園を開業した。当時はイチゴの品種や収穫期が限られていたが、ハウス設備を年々向上させ、高品質多品種生産のイチゴ農園を確立した。
現在はやよい姫、かおりの、紅ほっぺ、あまりん、恋みのりなど計9品種を栽培。1979年から始めたイチゴ狩りサービスは、時間制限なしの食べ放題、ハウス(計4カ所、総面積5800平方メートル)の移動自由、完全先着順が好評で、連日、受付前には長蛇の列ができている。
5日も、開園時間(午前9時)の約1時半前から、県外の利用客が並んでいた。店舗前では、「瑞穂太鼓会」(皆野町三沢)のメンバーが秩父屋台囃子(ばやし)や秩父音頭の演奏を披露。幸寅さんは「皆さんのおかげで、ここまで大きな農園に成長できた」と、大勢の利用客の前で感謝の気持ちを伝えた。
市内で積雪98センチを記録した2014年2月の大雪では、ハウスの7割が倒壊した。19年からコロナ禍に入り、観光客と売り上げの減少が続いた。最近10年間でさまざまな壁に直面してきたが、正明さんは「JAちちぶいちご部会の仲間や、鉄道会社、県外修理業者ら多くの方の力を借りて、迅速な立て直しができた」と振り返る。
同園では、腰をかがめずにイチゴ狩りが楽しめる高設栽培が人気。今後は、高設栽培用のハウス増設を検討しているという。小学生の時から、祖父幸寅さんや父正明さんの背中を見て、イチゴ栽培を学んできた洋平さん(29)は「2人が築いてきた栽培理念を維持しながら、利用客のニーズに応えていきたい」と語った。