京都市のアニメ制作会社「京都アニメーション」が放火され、33人が死亡した事件で、京都府警が身柄を確保した男（41）はさいたま市見沼区のアパートで暮らしていた。男は近隣住民に「殺すぞ」とすごんだり、騒音トラブルを起こして警察官が駆け付ける騒ぎを起こしていた。

　アパートの隣の部屋に住む男性（27）は14日、男性の部屋から騒音が出ていると男に勘違いされ、壁やドアをたたかれた。男性は「騒音を出しているのは自分ではない」と伝えたが、男は胸ぐらや髪をつかみ、「うるせえ。お前には関係ない。殺すぞ。こっちは余裕ねえんだよ」とすごんだ。男と話したのは初めてで、本当にやられかねないと思った男性は、すぐに警察と管理会社に連絡した。男は無精ひげを生やしていた。

　別の部屋に住む隣人の男性（47）によると、男は数年前に越して来て、アパートの前で自転車をいじっていた。いつも部屋はカーテンが閉まっていて、夜10～11時ぐらいからゲーム音のような音が鳴り始め、普段から騒音トラブルになっていた。

　昨年8月ごろの朝5時ごろには、かつてない音量が鳴り響き、警察官2人が来た。近くに住む女性によると、警察官が来てドアをたたいても男は30～40分間出て来なかったという。

　県人事課によると、男は1995年度から97年度までの3年間、さいたま市浦和区の県庁に非常勤職員として勤務。庁内の文書の配送や集配を行う県文書課で仕事をしていたという。

　同課は「当時の同僚の話では、特にこれといって覚えてはいないが、少なくともトラブルやミスなど大きな問題はなかったと聞いている」と話している。

　捜査関係者によると、男は2012年6月に茨城県坂東市で現金約2万円を奪うコンビニ強盗事件を起こし、懲役3年6月の実刑判決を受けた。当時の住所は同県常総市だった。16年1月に刑務所を出所。さいたま市内の更生保護施設で数カ月間生活した後、このアパートに移ったとみられる。