3年越しの校旗返還…2020年閉校の大宮西高が「閉校式」 卒業生ら800人参加 世代超え交流、響いた校歌
さいたま旧市立大宮西高校の閉校式と大同窓会が、埼玉県さいたま市大宮区で行われ、卒業生や教員ら800人が参加し、旧交を温めた。式はコロナ禍の影響で、2020年3月の閉校から3年を隔て実施。会場には参加者全員による校歌が響き渡り、笑顔と涙とともに西高の歴史の幕が下ろされた。
同高校は1962年創立。2020年3月、58年にわたる学校の歴史を閉じ、校舎などは市立大宮国際中等教育学校に受け継がれた。下級生のいない最後の卒業式は20年3月16日、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、卒業生と教員のみ、保護者も参加できず非公開で行われた。当時は国からの要請を受け、学校は臨時休校中。翌月には緊急事態宣言が出されるなど、予定されていた閉校行事や同窓会などはこれまで行われていなかった。
閉校式であいさつした清水勇人市長は大勢の卒業生らを前に「きょう改めて、大宮西高が多くの卒業生や皆さんの愛情に包まれた学校だったことを痛感した。この学びやで培われた精神は今後の埼玉県、さいたま市の歴史や伝統の創造に脈々とつながっていくと確信している」と述べた。
式は俳優の緑川静香さん(06年度卒)が司会を担当し、東條裕之閉校事業実行委員長、細田真由美教育長、小野安史同窓会長、関田晃第16代校長があいさつ。学校周辺自治会長らが来賓として登壇した。最後の生徒会長を務めた尾辻温さん(19年度卒)から清水市長に校旗が返還され、尾辻さんは「われらの母校、大宮西高。あの場所で積み上げた歴史や思い出は今も私たちの中に残っている。西高に関わってくれた全ての皆さまに感謝します」と話した。
最後にピアニストとして活躍する丸山薫さん(92年度卒)の伴奏で参加者全員が校歌を合唱。終わりの小節「西高、西高、おお、われら誇り持つ者。青き山河よ、行く手を飾れ」と歌い終えると、会場は参加者の笑顔があふれ、大きな拍手に包まれていた。