埼玉新聞

 

<高校野球>浦和学院を撃破、浦和実・先発豆田が2安打完封劇 底力引き出した捕手竹内 監督涙ぐむ

  • 浦和学院―浦和実 浦和学院の最後の打者を打ち取って勝利し、喜ぶ浦和実の豆田=県営大宮

 (埼玉大会=20日・県営大宮)

 浦和実は先発豆田が2安打完封。九回の1死一、二塁のピンチも一邪飛と中飛に切って取った。浦和学院は7四死球を得点につなげられず。

■気迫前面に内角攻め

 172センチ、72キロの小さな剛腕が県営大宮のマウンドに仁王立ちだ。浦和実の先発豆田が気迫を前面に出して浦和学院打線をわずか2安打に抑えた。138球の完封劇に、2年生右腕は「試合前は抑えられるイメージがなかったけれど、思っていたよりも抑えられた。やっと終わった」。重圧から解放され、マウンド上の表情とは違い、初々しい笑みを浮かべた。

 3回戦で自己最速の143キロを記録した自慢の直球でねじ伏せた。昨夏の甲子園8強のメンバーが中軸に残る浦和学院打線に「逃げずに思い切りいく」と強気の内角攻め。死球4が攻めた証しだ。一歩も引かずに、8奪三振。芯で捉えられた当たりはほとんどなかった。

 豆田の底力を引き出したのが捕手竹内だ。ピンチの場面はもちろん、"相棒"の様子がおかしいと思ったらすぐさまマウンドに駆け寄る。

 「おまえの気持ちは球に乗って伝わっている。大丈夫だ。腕を振れ」

 兄貴分でもある竹内の声で「冷静になれた」。四回に先制のソロを放つなど頼りになる存在がいてこその快投だった。

 公式戦で豆田が完投したのは初めてだ。これまではエース右腕三田への継投が必勝パターンだったが「(後ろの)先輩に遠慮することなく、最後まで」と覚悟を決めた背番号20。八回の攻撃前に「豆田を完投させたい」と辻川総監督に進言した竹内の思いにも応えた。

 夏は4度目の対戦で初めて浦和学院を倒し、大きなヤマ場を越えた。思わず涙ぐむ27歳の土居監督を横目に、ヒーローは「泣くのはまだ早いかな。泣くのは甲子園を決めた時に」と笑う。うれし涙は、最高の瞬間まで取って置くつもりだ。

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