埼玉新聞

 

地震、母の病気、法改正なら強制送還も…不安尽きぬ18歳 クルド人女性「ネウロズ」の意義語る

  • ネウロズに着ていく民族衣装を持つグリスタンさん=16日午後、埼玉県川口市

    ネウロズに着ていく民族衣装を持つグリスタンさん=16日午後、埼玉県川口市

  • ネウロズに着ていく民族衣装を持つグリスタンさん=16日午後、埼玉県川口市

 「ネウロズは自分たちがクルド人であるということを改めて認識するだけではなくて、クルドの自由と解放を願うためでもあります」。川口市に住むクルド人女性のグリスタンさん(18)=仮名=は、ネウロズが持つ意味を流ちょうな日本語で教えてくれた。

 グリスタンさんは2014年、トルコ南東部のガジアンテプ県でクルド人の独立を目的とした政党の活動に協力したとして、迫害を受けて日本に逃れていた父親を頼って家族5人で来日した。「学校でクルド語を話しただけで暴行を受けたり、『テロリスト』と言われることもあった」と自身の経験を打ち明ける。

 当初は特定活動のビザを受けていたが、21年末に出入国在留管理庁に呼び出されると、突然在留資格の失効を告げられて仮放免に。現在2回目の難民申請中だが見通しは暗い。

 21年の日本国内での難民認定率は1%に満たず、クルド人については昨年まで認定された例がなかった。政府は間もなく申請回数を原則2回までに制限する入管難民法の改正案を国会に再提出する。成立すれば、グリスタンさんも将来的に強制送還の対象になる可能性もあるという。

 故郷で2月に発生した地震や最近発覚した母親の病気など、不安要素は来日してから現在が一番多い。しかし、不安定な今だからこそ「私たちにとって、ネウロズはなくてはならない」とグリスタンさんは訴える。

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