<高校野球>大宮東、九回2死から"奇跡の4連打" 昨夏準Vの上尾にサヨナラ勝ち「自然と涙が出た」
大宮東は2点を追う九回2死から島村、尾島の連続適時打で追い付き、小関の中前適時打でサヨナラ勝ち。上尾は先発寺山が九回につかまった。
■八回まで2安打、九回にドラマ
勝利の女神は、最後まで諦めなかった大宮東ナインに最高のプレゼントを用意した。
九回2死から同点に追い付き、なおも一、三塁で途中出場の8番小関が「初球を狙っていた」と外の直球を振り抜くセンター返し。劇的なサヨナラ勝ちで8強入りを決めた。
ベンチから勢いよく飛び出したナインに手荒い祝福を受けた小関は「頭の中は真っ白。みんなと抱き合い、自然と涙が出た」と気持ちよさそうに汗を拭った。
打線は上尾の左腕寺山に八回まで2安打に抑えられ、迎えた九回にドラマが待っていた。
2死一塁から5番の島村が「たとえ三振になっても良いから、強気でフルスイングした」と二塁打で1点を返す。なおも走者二塁で尾島。「負けたくない執念がバットに移った」と話す二塁打で同点とした。
こうなると流れは一気に大宮東へ。寺山を引きずり下ろすと、変わった2番手松山から鈴木が左前打で一、三塁。そして小関の一打。絶体絶命の状況から"奇跡の4連打"で試合をひっくり返した。
「今日は激しい戦いになることを覚悟しろ」。試合前のミーティングでナインを引き締めた河西監督は「相手は昨年の北埼玉大会準優勝の強豪。それに先発の寺山投手を簡単に打ち崩せないことは分かっていた」。
劣勢でも「勝負どころは最後に訪れる」と信じ続けた指揮官の執念が実り、8強をつかみ取った。
次は4強を懸けた市川越との準々決勝。「人生初」のサヨナラ打を放った小関は「苦しさを乗り越えてきたからこそ、この喜びがある。スタンドから応援してくれた部員や仲間に感謝したい」。
河西監督は「野球部101人の熱い魂を胸に刻んで、一試合一試合戦っていく」。29年ぶりの甲子園へ、大きな大きな1勝だ。