埼玉新聞

 

土用の丑の日、浦和の老舗ウナギ料理店に長蛇の列 開店前から人が並び、電話ひっきりなし 人気メニューは

  • 江戸時代から続く味を引き継ぎウナギを焼き上げる職人=27日午前、さいたま市浦和区仲町の山崎屋

 土用の丑(うし)の日の27日、江戸時代から続くさいたま市浦和区仲町の老舗ウナギ料理店「山崎屋」では、早朝から700匹のウナギを仕込み、通常より30分早い午前11時に開店した。この日はさいたま市の最高気温が33・1度と30度以上の真夏日を観測。同店は「ウナギを食べて、暑い夏を乗り切ってもらいたい」と話していた。

 開店前から人が並び、お昼時には長蛇の列に。店の電話もひっきりなしに鳴り続けた。多くの顧客に堪能してもらおうと、うな重のみに限定して対応した。

 同店では、白焼きして蒸した後、たれを付けて焼いているため、やわらかくふんわりとした食感に。江戸の創業時からつぎ足して作っているたれは、素材のウナギの香りを楽しめるよう甘過ぎないため、たっぷりとたれを付け3回焼いても、あっさりとした味わいで食が進む。

 一方、ニホンウナギの稚魚シラスウナギの国内漁獲量は年々減少しており、今年は過去最低を更新。うな重の並(税込み3240円)など、小売価格も高止まりしているが、ぎりぎりの粗利で価格を抑えて提供しているという。

 近年、養殖技術が高まり、完全養殖も実現。量産の課題はあるが、安全安心で良質なウナギが手に入るようになってきた。同店も静岡県の大井川の伏流水で飼育され、天然ウナギのような香りと味わいのある「共水うなぎ」を仕入れ、ぜいたくに2本使った筏重(税込み6696円)は、リピーターがつく人気メニューになっているという。

 常務取締役の椎名浩文さん(49)は「土用の丑の日になると夏がやってきた感じがする。江戸時代から続くウナギを食べて、暑い夏を乗り切ってもらいたい」と話した。

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