<高校野球>打率7割超、花咲徳栄“恐怖の7番打者”の軌跡 5年連続7度目Vに貢献 好調の理由は
花咲徳栄
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山村学園
第101回全国高校野球選手権埼玉大会は28日、県営大宮球場で決勝が行われ、昨夏の北埼玉大会優勝校の花咲徳栄が初の決勝に進出した山村学園を11―2で退け、5年連続7度目の優勝と甲子園出場を決めた。
花咲徳栄は一回に田村と菅原の2点適時打などで6点を先制して主導権を握ると、その後も着実に加点。エース左腕中津原が9安打を許しながらも要所を締め、2失点完投した。
優勝した花咲徳栄は全国高校野球選手権大会(8月6~21日・甲子園)で2年ぶり2度目の優勝を目指す。
■絶対王者徳栄、令和も快音
花咲徳栄が一回に6点先制し、山村学園の左腕エース和田を攻略。序盤で主導権をつかみ、そのまま逃げ切った。
一回、花咲徳栄は和田の制球難や守備の乱れに乗じて効果的に得点した。先頭の池田が死球で出塁すると、2番橋本吏が左前打。4番井上の投ゴロが失策を誘い、1死満塁から連続四死球で2点を先制。さらに7番田村の左前2点適時打と9番菅原の左中間への2点適時二塁打で畳み掛けた。
その後も二、五、六、八回に加点し、計11安打で11点。守っては、左腕エース中津原が9安打されながら粘り強く2失点で完投。バックも再三の好守でもり立てた。
山村学園は、立ち上がりの和田の乱調が誤算。一回には小林の左越え適時二塁打で1点返すなどしたが、計12残塁で好機に一本が出なかった。
■打率7割超、7番田村 最高の輝き、聖地へ
今大会7試合で92得点をたたき出した強力打線にあって、2年生田村の働きぶりはひときわ輝いていた。準決勝までの打率が7割を超えた"恐怖の7番打者"は決勝の舞台でも2安打3打点と活躍し、「出来過ぎ」と苦笑いした。
山村学園のエース和田の制球が定まらなかった一回、1死満塁から「外の真っすぐを狙っていてうまく流せた」と左前へ2点打。五回にも「初球を積極的に振った」と右前打を放ち、好機をきっちり得点につなげた。
千葉西リトルシニアから花咲徳栄の門をたたいた理由は「日本一になりたいから」。志高く野球部へ入部したものの、入部当初はレベルの高さに圧倒された。
昨夏はスタンドから声援を送り、出場機会をつかんだ昨秋の大会で結果が出せず、12月にはBチーム行きを告げられる。「やる気もなくなり、沈んでいた」。そんな折、歯を食いしばって練習する仲間の姿を見て「自分の未熟さに気付いた」と心を入れ替えた。
苦手の変化球を克服するため、毎日練習後に2時間、マシンを相手に打ち込み続けた。「今思えば(Bチームに)落ちて良かった。弱さと向き合えた」。練習試合で結果を出し、今夏のレギュラーをつかんだ。
2番の橋本吏から5番の羽佐田まで、昨夏の甲子園経験者がずらりと並ぶ強力打線の中で7番に座り、初戦の杉戸農戦から4安打。全7試合で快音を響かせた。「頼れる先輩たちがいるから、力まずに打てる」と好調の理由を分析する。
いよいよ舞台は甲子園へ。高校入学時の「日本一になりたい」夢をつかむ戦いが始まる。「この勢いのまま勝ち続ける」。「大哉」の名の通り、埼玉で見せた最高の輝きを、次は聖地で見せる。