埼玉新聞

 

やきとり・ひびき民事再生法申請 負債77億円 店舗拡大や企業買収で経費増 県内店舗を軸に再建目指す

  • さいたま市浦和区の「ひびき庵別館埼玉県庁前店」

 やきとり店などを手掛けるひびき(川越市、日疋好春社長)が、20日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日付で保全および監督命令を受けたことが分かった。

 帝国データバンク大宮支店と東京商工リサーチ埼玉支店によると負債総額は約77億949万円。店舗拡大による人件費や企業買収(M&A)による経費の増加などが影響し債務超過に陥った。今後は県内の店舗を軸に事業の改善などに努めながら再建を目指す。

 同社は1992年設立。95年に東松山市の名物で黒豚のカシラ肉を辛口のみそだれで食べる「やきとり」を提供するテークアウト店を川越市内に開業以降、居酒屋形態の店舗「ひびき庵」を県内を中心に展開。

 2013年ごろから出店ペースを加速させ、19年7月末現在で同市を中心に県内に24店舗、東京都内に5店舗、茨城県内に1店舗ある。18年6月期には売上高20億円を計上していた。

 しかし製造工場の開設や出店数の増加で、各種投資などに要した借入金が膨らみ収益を圧迫。収益源だった都心の店舗をテナント側の意向もあり閉店したが、その分を他店舗で補え切れなかった。

 18年に県内の酒卸売業を、19年に都内の飲食業をそれぞれ買収、非食品分野への投資も推進したが、相乗効果を得られずコスト増で苦境に陥っていた。

 店舗の統廃合など合理化を進めたものの、19年6月期に13億円の赤字を計上、債務超過に陥った。今後、資金繰りが厳しくなる可能性が極めて高くなったことから、自力での再建を断念。法的手続きによる再建を目指すことになった。

 再建へ、債務者である日疋氏が社長職にとどまり、事業を継続しながら早期の立て直しを図る。具体的には県内の収益性の高い店舗に経営資源を集中させ、再建を進める。同氏は「法的手続きに基づいて早期に事業回復を図り、改めて県内経済を支える一助になれるよう努めたい」とした。

 26日に東京都内で債権者向けの説明会を行う予定。

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