埼玉新聞

 

平田雄也さんや村上弘明さんら出演、川口を舞台の映画が撮影スタート 撮影に並木小の児童30人が出演

  • 映画「車線変更―キューポラを見上げて」のベーゴマ大会の撮影現場。右手に幸助役の小学生の肩を抱き、励ます父親役の村上弘明さん。その左へ辻井俊一郎社長や、両手を広げた審判役の平井孝明さんも見える=19日、川口市立並木小学校

  • 義足のロードレーサーを演じる村上清加さん=川口市立並木小学校

 川口市を舞台に障害があるロードレーサーにスポットを当てた映画「車線変更―キューポラを見上げて」の撮影が19日、川口市並木の市立並木小学校の校庭でスタートした。この日は小学生のベーゴマ大会と、3年生の徒競走の模様を撮影した。徒競走のシーンでは同校の3年3組の児童30人が出演した。

■義足のランナー

 主人公の幸助は川口オートレースの選手だったが、練習中の事故で右足がまひしてしまった。絶望するが、義足の自転車ロードレーサーに出会い、自分も自転車に乗り換えロードレーサーとして2020年東京パラリンピック出場を目指す。

 この日、映画で義足のロードレーサーとして登場する村上清加(さやか)さん(35)が撮影現場を訪れた。実際に義足を着け、マラソンランナーとして活躍している。村上さんは「貧血で気を失い、駅のホームから転落して電車にひかれたんです。映画では主人公に勇気を与える大事な役。普段通りにやります」と語る。

 幸助を平田雄也さん(25)、父を村上弘明さん(62)、母を岡江久美子さん(62)、恋人友理乃を中川知香さん(25)が演じる。幸助は、頑固にキューポラを守る昔かたぎの鋳物職人で、いつもキューポラを見上げる父の背中を見て育つ。

 この日の撮影は幸助が幼かったころの回想シーン。父はベーゴマ大会に出場する幸助役の小学生に「よし行ってこい」と励まし、優勝した幸助に「やったぞ幸助。すごいぞ幸助」と喜ぶ。

 撮影現場では市内で唯一残ったベーゴマメーカー「日三鋳造所」の辻井俊一郎社長(72)が、ベーゴマの実技を指導。赤羽でベーゴマクラブを運営する平井孝明さん(44)が審判役を演じた。

■映画ってすごい

 撮影が終わって村上弘明さんが平井さんと握手して「演技がうまいですよ」。平井さんは「村上さんの大ファンです。めっちゃうれしい」と笑顔に。徒競走のシーンは実際に児童たちが走った。幸助が転んでもまた走り出すシーンも。

 ベーゴマ大会のシーンに出た同小4年の田中美月さん(10)は「すてきな体験。映画を早く見たい」。一緒に走った3年の福地綾乃さん(9)は「映画ってすごいなって思った。わくわくした」。遠くで見守った福地さんの母、由美子さんは「一こま一こまを丁寧に作っていた。貴重なものを見せてもらった」。

 撮影の総指揮を取った赤羽博監督(67)は「障害者や外国人との共生をどう築いていくかが、この映画の課題。私自身にも偏見がある。どうしたら垣根をなくせるか、川口の人と一緒に学んでいきたい」と話した。

 同小学校の近くに住むプロデューサー国枝秀美さん(59)は「5年越しの企画で、昨年の撮影開始会見から1年もたち、つらかった。やっとクランクインにたどり着けて、今日は夢のよう。川口は在日韓国人、中国人など外国人が多い。障害者や外国人への偏見の壁を突き破るものを映画で提案したい」と語った。

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