埼玉新聞

 

<上田知事退任>4期16年の上田県政、30日任期満了 職員や支援者らが花道、拍手で見送られ目に涙

  • 県職員から贈られた花束を掲げながら謝意を伝える上田清司氏=30日午後4時半ごろ、県庁本庁舎南玄関前

 上田清司知事(71)は30日、任期満了を迎え、4期16年の上田県政の幕が閉じた。上田氏は同日の退任記者会見で「県民の皆さまの支援や協力によって県政が大いに発展したことについてお礼を申し上げる。県民の力を結集することができた。新知事の下で県政がより発展することを祈念する」と述べた。自身の今後に関しては「(10月の参院補選は)当面考えない」としたが、「志を持って挑戦したい人に共鳴しやすい人間なので、そういう人の力になりたい。自分の蓄積を伝授、参考にしてもらいたいと思っている」と政治活動を継続する意向を示した。

■県の一層の発展を願う

 同日午前、上田氏は臨時庁議を開いた後、退任式で約300人の課長級以上の職員を前に「事実を知りどうするかを考えれば、県民目線で県民に近づくことができ、必要なことが分かってくる。(物事の)本質を思い出すと立派な仕事ができる」との言葉を贈り、県の一層の発展を願った。

 県議会各会派の控室も回り、退任のあいさつ。県民会議や民主フォーラムの控室では各県議が上田氏をねぎらい、花束贈呈や記念写真を撮影するなど和やかな雰囲気に包まれたが、県議会で対立していた自民の控室には誰も姿を見せなかった。

 上田氏は事務職員に「退任御挨拶」と文字が入った名刺を渡し、自民控室を退出。正副議長室を訪れた際、新井豪副議長(自民)は「うちのグループが最後まで大人げない対応で申しわけない」と述べた。

 午後に開いた退任記者会見で、4期16年の上田県政を一言で表現すると問われると、県庁職員の「マインドの変革」を挙げ、「県民目線とか、県民本位とか当たり前だが、(以前は)できていない。本当に県民に向かってマインドを出しているかどうかについては、大きく変えたと思っている」と強調した。

 31日に新知事に就任する大野元裕氏(55)との事務の引き継ぎも行った。引き継ぎ後、大野氏は「県政を安定的に、埼玉県に出てきた問題を着実に克服してこられた知事なので、敬意とともに感謝を申し上げたい」と語った。

 県庁本庁舎南玄関前には約600人の職員や支援者らが長い花道をつくった。拍手で見送られ、県庁を後にする上田氏の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

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