埼玉新聞

 

M7・3の大地震を想定 8千人が参加、和光で総合防災訓練 想定の一部を明かさず、より実践的に訓練

  • 地震により和光陸橋が崩落し、巻き込まれた車両内の人を救出する高架橋崩落事故救出訓練=31日、和光市役所駐車場

 9月1日の「防災の日」を前に、県は31日、和光市と合同で大地震を想定した総合防災訓練を行った。1日を通して「自助・公助・共助」のテーマに分けた訓練で、関係機関の連携や防災意識の高揚を図った。この日、就任した大野元裕知事が視察し「関係機関が一堂に会し、それぞれの技術や知識を駆使した訓練が円滑に行われ、非常に心強く感じた」と述べた。

 首都圏9都県市合同防災訓練を兼ねた。県内11消防本部、県警、陸上・航空自衛隊をはじめ、防災や医療関係、自治会、社会福祉協議会など約130機関・団体、およそ8千人が参加した。東京湾北部を震源とするマグニチュード(M)7・3の地震の発生を想定。同市内でも最大震度6強の揺れを観測し、甚大な被害が発生したとの仮定で行われた。

 市内12カ所の小・中学校で指定避難所の開設運営訓練(共助)が行われ、続いて救出救助訓練(公助)、最後に市民の体験型訓練(自助)が、それぞれの会場で行われた。

 同市役所駐車場であった救出救助訓練では、より実践的に近づけるため、想定の一部を明らかにしないセミブラインド型訓練を導入した。関係団体が連携し、高架橋の崩落や土砂崩落を想定した訓練、高層階建物救出救助訓練などをこなした。

 近接の別会場ではスポーツの要素を取り入れた防災イベント「BOSAI競技大会」が行われた。毛布で担架タイムトライアル、ジャッキアップ救出大作戦、水消火器で的当てチャレンジなどの防災プログラムに家族連れらが参加していた。小学生2児と訪れた和光市の会社員男性(48)は「防災について、子どもが楽しんで学ぶことができる良い機会」と話していた。

■首都直下地震

 東京など首都圏の直下を震源とする大地震で、発生確率は30年以内に70%程度とされる。国の被害想定によると、都心南部を震源とするマグニチュード7・3の地震が起きた場合、最悪2万3千人が死亡し、全壊・焼失建物数は61万棟に上る。交通網のまひで大量の帰宅困難者が出るとみられている。

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