埼玉新聞

 

<元生徒が自殺>俺はいらないんだ…悲痛な叫び残して命絶つ 教頭「転校したら」校長「マスコミに話すな」

  • 会見する小松田辰乃輔さんの母親の友人女性(左)と関係者ら=9日、川口市役所

 川口市立中学校の在学中にいじめを受けて長期の不登校になったと学校や市教育委員会に訴えていた川口市の小松田辰乃輔さん(15)=県立特別支援学校高等部1年生=が8日未明、自宅近くのマンションから飛び降りて死亡した。自宅から「教育委員会は大ウソつき」とノートに書いた遺書が見つかった。

 小松田さんは16年9、10月に2度、自室のドアノブにベルトをからませる自殺未遂をし、2度とも意識不明になったが助かった。その後、17年4月、自宅近くのマンションから飛び降りたが、命は助かり脚に重傷を負った。脚のケガが原因で車いす生活になり、養護学校高等部へ進んだ。

 遺書は、市教委が「いじめ加害者だけを守って、うそばかりつかせる。いじめられたぼくが、なぜこんなにもくるしまなきゃいけない」と書き、市教委を批判する内容。

■「誰も守ってくれない」

 いじめの実態を調査するために、川口市教委が立ち上げた第三者委員会は「被害者からの事情聴取ができない」を理由に今年3月末以降、会合が開かれていなかった。

 その最中に、いじめの調査と改善を訴えていた小松田辰乃輔さん(15)は8日未明、「市教育委員会は大ウソつき」という遺書を残して自ら命を絶った。母親(44)は9日、「学校で何が起きたのか、何が息子を追い詰め、苦しめたのか。学校と教育委員会は真相を究明してほしい」と訴えた。

 9日正午、川口市役所で小松田さんの母親の友人で市内の別の中学校でいじめ被害に遭った元男子生徒(16)=県立高校2年生=の親族女性と、2011年に大津市で起きたいじめ自殺事件の被害者だった男子生徒の父親(54)が記者会見した。

 女性は「辰乃輔君を追い詰めた一番の原因は学校と市教委だったと言えます。彼は最近、私に『市教委はなんでうそばかりつくんですか、うそをついてもいいんですか』と訴えていた」と語った。

 大津いじめ被害者の父親は「15歳の少年は学校や市教委の寄り添った対応を得られないまま自死した。いじめ防止対策推進法について学校や教師の責任を厳しく求め、見て見ぬふりや不作為を許さないような法改正が見送られたことが、今回の彼の死につながった」と話し、同法改正が急務だと訴えた。

 遺族によると、小松田さんは中学1年の2学期の16年9月ごろ、担任教諭に「サッカー部の友だちからいじめられている」と手紙で訴えたが、改善されなかった。

 「何も変わらない、今日もいじめられた」とノートに書いた小松田さんは9、10月に首をつる自殺未遂を2回起こした。

 自宅を訪ねた教頭は「転校したら」と言い、校長は小松田さんの容態も聞かずに「マスコミが来たら何も話さないで」と言った。小松田さんは「やっぱり俺はいらない生徒なんだ」と落ち込んでいたという。

 小松田さんの母親は「息子は2回の自死を試み、ようやく学校が調査に乗り出したが、すぐに『いじめは認められなかった』と報告が返された。息子は3回目の自死を試み大けがを負った。車いす生活になった後も、学校、教育委員会は息子の訴えに耳を貸さず、加害者をかばうような対応に終始した」とコメント。

 「学校に裏切られ、教育委員会に見放され、加害者からも傷付けられた。誰も相手にしてもらえない、声を聞いてもらえない、という苦痛は息子の心をむしばみ、そして自死に追いやりました。つらい、苦しい、という息子の訴えに、なぜ学校や教育委員会は気付けなかったのでしょうか」と訴えた。

■ノートの文章全文

 教育委員会は大ウソつき。いじめた人を守ってウソばかり。いじめられたぼくがなぜこんなにもくるしまなきゃいけない。ぼくはなんのためにいきているおか、分らなくなった。ぼくをいじめた人は守ってて、いじめられたぼくはだれにも守ってくれない。くるしい くるしい くるしい くるしい くるしい つらい。ぼくの味方はかぞくだけ。くるしい つらい

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