埼玉新聞

 

<豚コレラ>秩父の農場で753頭を殺処分 県内全ての養豚農家と県が連絡、異常の報告はなし

  • 白い防護服を着て、養豚場へ向かうバスに乗り込む関係者たち=14日午前10時50分ごろ、秩父市下吉田の市吉田取方総合運動公園体育館

 秩父市内の農場で飼育している豚が豚コレラに感染した問題で農林水産省と県は14日、感染が認められた養豚場で飼育する753頭の殺処分作業を始めた。感染拡大が懸念されることから農水省と県で発生農場周辺の養豚場への調査を進めているが、現在までに拡大は確認されていない。また感染経路に関しても特定に至っていない。

 県によると13日深夜から県職員らが秩父市内の養豚場に入り、飼育されていた繁殖豚、肥育豚の合計753頭の殺処分作業に入った。殺処分された豚は梱包(こんぽう)され、豚舎近くの埋設地に運ばれた。全頭殺処分を14日中に終え、16日までに感染の可能性が高い豚舎や施設・設備の処理と消毒を終える予定だ。

 また発生養豚場の半径3キロ圏と10キロ圏には二つの養豚場があり、両場で約1700頭が飼育されていることから、感染防止のために豚の搬出を禁止する措置を取っている。14日段階では両養豚場の豚に異常はなかった。県では、県内の全ての養豚農家と連絡を取り、感染の疑いがないか調査を進めているが、14日夜現在までに異常は報告されていない。

 県内の養豚業は、県北地域を中心に養豚農家は85戸、約9万頭の豚が生産されている。近年は、「彩の国黒豚」などのブランドを構築し、首都圏での人気が高まってきている。感染は、こうした高いブランドイメージの棄損なども懸念されるため、農家や県民から寄せられる疑問や不安に対して職員が連休中も出勤し、応対に当たっている。

 また感染源の可能性が高いイノシシについて、発生豚舎の半径10キロ圏内で捕獲して処分する。豚舎周辺の処理を終えた後、週明けから秩父市や県猟友会とイノシシの捕獲を進め、感染経路の特定に結び付けたいとしている。

 秩父市内で発生した豚コレラは、関東地方では初めて。すでに東海・北陸地域で大きな被害となっているため、関東農政局などを中心に、ほぼ同時期に発生している長野県などと情報を共有し、東日本地域へ拡大しないよう、対策を進めている。

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