埼玉新聞

 

埼玉中小企業家同友会【設立50周年・地域に生きる(4)】ホスピタリティアルファ・野原健志代表、清掃通じ多文化共生

  • 「人が喜ぶこと、人と関わることが好き」と話すホスピタリティアルファの野原健志代表

    「人が喜ぶこと、人と関わることが好き」と話すホスピタリティアルファの野原健志代表

  • 「人が喜ぶこと、人と関わることが好き」と話すホスピタリティアルファの野原健志代表

 埼玉県内の中小企業経営者らが加盟する埼玉中小企業家同友会(会員約千人)が今秋、設立50周年を迎える。経営を学ぶ「社長の学校」として1974年に設立。コロナ対策に加え、原材料費やエネルギー価格の高騰を受けながら、地域の課題解決をビジネス化し、「ウィズ・コロナ」を見据えた新事業を展開するなど個性的な企業が多く集まる。人を生かし地域に生きる地元企業16社を紹介する。

■ホスピタリティアルファ(西区)野原健志代表

 経営理念は「多文化共生を軸とし、平等な社会を実現します」。さいたま市西区の清掃業、ホスピタリティアルファが目指すのは、さまざまな国の人たちが共に働く社会だ。従業員約40人のほぼ全員が外国人で、野原健志代表(58)は「日本人でも外国人でも皆が笑い合えて喜び合える。そんな仲間がいる世界がいい。その手段が清掃なんです」と語る。SDGsの考え方を学び、理想の将来像から逆算してビジネスを構築している。

 主な業務はビジネスホテルの客室清掃。現在はさいたま市内1棟、都内2棟の計3棟を受け持っている。従業員の国籍は中国約30人、ベトナム約10人で、在留資格は永住や家族滞在が多いという。正社員5人も全員外国人で、各ホテルでリーダーとして働く。

 野原代表によると、清掃業界は慢性的な人材不足で高齢者や外国人労働者が多い。国内の少子高齢化による就労人口の減少もにらみ、「日本は絶対に外国人の力に頼らないといけなくなる。それならば日本をもっと好きになってもらって、ワクワクしながら働いてもらえたら」と描く。

 起業は2017年。以前にビルメンテナンス会社の事業再生に携わり、ホテル清掃の事業化を考えた。大手旅行会社の社員時代に海外赴任したり、ワーキングホリデーを利用して海外で働いたことも。当時、英国で差別を受けた経験から「差別をしない」「みんな平等」との信念を持つ。

 SDGsに共感し、2種類の民間の公認資格を取得。県とさいたま市からSDGs企業の認定も受けた。「10年後にはうちが外国人を雇用するエキスパートになって、清掃以外でも外の仕事に出せるようになっていきたい」
 

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