西郷隆盛との貴重な「談判筆記」も 山岡鉄舟の書の常設展示室、小川の割烹旅館が開設 所蔵20点を展示
剣・禅・書に通じた達人で、幕末の偉人・山岡鉄舟(1836~88年)の書の常設展示室が、ゆかりのある小川町大塚の割烹(かっぽう)旅館「二葉(ふたば)」に開設された。
鉄舟の書を年代順に展示しているほか、幕臣として「江戸無血開城」に奔走した鉄舟と交渉相手である新政府の西郷隆盛との貴重な「談判筆記」(コピー)も展示。
鉄舟は、生家の小野家が江戸時代から旧木呂子村(現在の小川町竹沢地区)などを知行していたことから度々、当地を訪れている。町内には鉄舟の揮毫(きごう)したのぼり旗や多数の書が確認されている。
鉄舟は小川を訪れた際、必ず同館に立ち寄った。これが縁で名物料理「忠七めし」が生まれたという。昨年、一昨年と「江戸無血開城150年」を記念し、鉄舟関係の展示と講演会を行った。その際、多くの見学者から「毎年、開催しないのですか」との問い合わせがあったことから常設展示を検討、今回実現した。
展示室は「小川町と鉄舟」と「鉄舟の書」の2室に分かれ、同館が所蔵する「屏風六曲半双」「二葉楼」など、計20点が展示されている。
同館の八木忠太郎さんは「鉄舟の書を年代順に見ていくと、書自体が大きく変化し、鉄舟流としかいいようのない素晴らしい書に到達します」と説明する。
今回、東京・谷中にある鉄舟の菩提(ぼだい)寺「全生庵」が所蔵する鉄舟自筆の「慶応戊辰3月駿府大総督府ニ於西郷隆盛氏ト談判筆記」も展示している。これは鉄舟が岩倉具視に頼まれ、1882(明治15)年に書いたもの。今回、同館が同寺から同記の画像を借り、コピーを展示している。
八木さんは「これは貴重なもので、見ていただくと江戸無血開城の立役者が鉄舟であることが分かる」と話す。
開館時間は、午前11時~午後4時。入館料は200円。東武東上線小川町駅下車、徒歩3分。月曜日は休館。
問い合わせは、二葉(電話0493・72・0038)へ。