21センチ四方にぎゅっと…絵本で伝える街の魅力 「先輩」がデザインの埼玉・狭山市キャラ使い高校生が制作
埼玉県狭山市柏原新田の西武学園文理高校(マルケス・ペドロ校長、生徒871人)の3年生4人が子ども向けの絵本「おりぴぃのほしはどこいった」を制作し、市内の保育所や幼稚園に計100部を寄贈した。狭山市のイメージキャラクター「おりぴぃ」が市内の施設や催しを訪ね、紹介していく内容。生徒は制作の意図について「狭山の隠れた魅力を伝えられたら、まちが活発になるのではないかと考えた」と説明する。
絵本を作ったのはいずれも17歳の鈴木彰二、佐藤愛、土谷朱乃、岩下海輝さん。
絵本は同校と市が連携し2021年度から取り組んでいる「さやまアクションプランコンテスト」で、「予算5万円を使い狭山市を魅力ある街にする」との企画から生まれた。
当時1年生だった4人は「狭山の魅力を伝える絵本―狭山を魅力的な街にするために―」を提案。校内選考から狭山商工会議所などの外部審査を経て21年11月、初代最優秀賞に選ばれた。
絵本は42ページで、子供が手に取りやすいように21センチ四方のサイズにした。おりぴぃと4人をイメージした登場人物が、智光山公園こども動物園や市立博物館、狭山茶の茶畑、入間川七夕まつりなどを訪問し、それぞれの特徴を平易に解説していく。
ストーリーは4人で考えた。土谷さんは「リアルとフィクションを融合させ、体験型スポットを紹介している」と説明する。週1回の「文理探究」の授業のほかに、放課後や昼休みも使い制作を進めた。施設の画像は実際の写真を、温かみのある色調にソフトで変換し、絵本に反映させている。岩下さんは「写真の色合いなどに苦心した」と振り返る。
生徒は絵本制作の取り組みを「全国中高生探究コンテスト2023」に応募。1299組の中でファイナリストの10組にも選ばれた。
鈴木さんは絵本について「よくできたと思う。全国コンテストでも成績を残すことができた」と充実した表情で語る。絵本には読み手が施設や店舗を訪ねようとする際に、それぞれの情報を調べることができるようにQRコードも印刷されている。佐藤さんは市立博物館を訪ね、「子供が興味を引くこともたくさんやっている」と感じたという。
おりぴぃは七夕の妖精という設定で、08年度市中心市街地活性化推進事業のイメージキャラクターとして当時の同高の生徒がデザイン。13年度からは市のイメージキャラクターになった。