大宮で映画「漫画誕生」を県内先行上映 大木萠監督や出演者が舞台あいさつ、映画制作の秘話も披露
2019/10/02/00:00
さいたま市ゆかりの近代漫画家、北沢楽天の生涯を描いた映画「漫画誕生」の県内先行上映が9月28日、さいたま市大宮区の「MOVIXさいたま」で行われた。上映後には大木萠監督や出演者が舞台あいさつし、映画制作の裏話などを紹介した。
映画は日本初の漫画家として成功し、漫画家のプロダクション化など、現在の漫画業界の礎を築いた北沢楽天の半生を鮮明にたどった作品。楽天の功績を顕彰する漫画家らによる「北沢楽天顕彰会」が中心となって企画した。楽天は手塚治虫や長谷川町子など、後年の人気漫画家にも大きな影響を与えたといわれる。
楽天役には俳優のイッセー尾形さん、楽天の妻いの役には女優の篠原ともえさんが務めた。撮影は武蔵一宮氷川神社や見沼田んぼなど、さいたま市内を中心に行われた。昨年10月には東京国際映画祭にも出品された。
上映後の舞台あいさつには大木監督のほか、「さいたま観光大使」の女優村田綾さんなど出演陣が勢ぞろいした。
現在は国登録有形文化財となった岩槻区の築170年以上の古民家を一棟借りて、撮影がほとんど行われたことを大木監督が披露すると、会場を埋めた約180人の観客から驚きの声が上がった。
また、大木監督と作品の構想を発案した漫画家のあらい太朗さんが、誰を楽天役にするか考えていた時、「滑稽かつ葛藤ある人間らしい人を演じられるのはイッセー尾形さんしかいない。顔も似ているし」と、意見が一致した秘話も披露した。
主演のイッセー尾形さんからのメッセージが読まれると、会場は拍手に包まれた。
大木監督は「埼玉でできたことに本当に幸せを感じる。多くの方々の力があってできた作品なので、ぜひよろしくお願いします」と話した。
映画「漫画誕生」は11月30日から東京都渋谷区・ユーロスペースで公開予定。