埼玉が誇る絶景“天空のポピー”1200万本ついに開放へ 広大な牧場に青空コントラスト 人気で渋滞の予想
皆野町と東秩父村にまたがる県秩父高原牧場で18日から、「天空のポピー」が開催される。標高約500メートルの広大な斜面約4ヘクタールに、約1200万本の色鮮やかなシャーレーポピーが咲き誇る。コロナ禍の影響で2020年から中止が続き、育てたポピーを開花前に刈り取った。今年は赤色の花と、澄み渡る青空のコントラストを楽しむことができる。4年ぶりの開催に向けて関係者は「ようやく皆さんに楽しんでもらえる」と安堵(あんど)の表情を浮かべる。
天空のポピーは、地域活性化を目的に08年から開催。牧場や皆野町、東秩父村職員らで組織するポピーまつり実行委員会が、開花期間中に広場を開放し、臨時駐車場の設置や、軽食、特産品の販売などを行っている。種まきは毎年11月ごろ。皆野町立三沢小学校や東秩父村立槻川小学校の児童も交代で手伝っている。
20年4月、県内に1回目の緊急事態宣言が発令され、感染対策のため天空のポピーは初めて中止を余儀なくされた。
肥培管理を8年間務める県秩父高原牧場の野沢智浩さん(53)は、19年11月時に種をまいた開花前のポピー約1200万本を大型除草機で2日間かけて刈り取った。「未知なる感染症に脅威を感じ、みんなが対策に必死だった。『密集を避けるために、花を咲かせてはいけない』と使命感を持ち、迷わずカットした」。作業後、観光客らから「何で刈り取ってしまったんだ」などと不満の声も上がったが、密集回避のためには仕方なかった。
その後も会場関係者は感染動向を注視しながら開催への道を模索したが、「完全に安全な場」の確保はできず、21、22年も中止の判断を下した。種をまかなかった年も、除草などの維持管理は欠かさなかった。「再開時にきれいな花を咲かせ、みんなに喜んでもらおうと、年中トラクターを走らせて環境整備に尽くした」と野沢さんは振り返る。
同委員会によると、19年までの年間来場者数平均は約5万人。18年時は過去最多の約6万8千人が訪れた。今年の開花は例年より2週間ほど早い。冬に降雪が少なく、春に夏日が続いたことなどが影響しているという。開催初日の18日には四~五部咲きになる見込み。
会場内の出店舗数は例年より減らし、休憩スペースは設けない。東秩父村産業観光課の篠崎裕美さん(45)は「会場周辺は道幅が狭く、開催中はどうしても道路が渋滞してしまう。より多くの方にポピーを楽しんでもらうため、あまり会場に長居しないように呼びかけていきたい」と話す。
今年の来場数は約5万人を見込む。「中止の期間も、『今年はやりますか?』といった問い合わせをたくさん頂いた。毎年県外から来る方も多く、今回も渋滞が予想されるので、時間に余裕を持ち、事故に気を付けて来てほしい」と篠崎さんは呼びかけている。
会場は18日から開放し、6月4日まで(雨天時は閉園)。時間は午前9時~午後5時(最終入場、午後4時半)。環境協力金は大人500円。
問い合わせは、東秩父村産業観光課(電話0493・82・1223)へ。