埼玉新聞

 

小江戸川越の一大行事「川越まつり」、19・20日に開催へ 今年は18台の山車巡行

  • 昨年の「川越まつり」で、市街地を引き回された山車(2018年10月20日撮影)

  • まつり本番に向け、お囃子の練習に励む幸町囃子会の会員=川越まつり会館

 370余年の歴史がある小江戸川越の一大行事「川越まつり」(同協賛会主催)が19、20日、川越市の中心部で行われる。その祭礼の音色や祭りに懸ける心意気は親から子、孫へと受け継がれ、地域の連帯をもたらしている。

■祖父と孫で囃子演奏

 テンツク テンスク テンスケテン…。太鼓の小気味よい音色が響く。9月の週末の夜。幸町囃子会が本番に向け、囃子の練習に励んでいた。会員たちが大太鼓や締太鼓、鉦(かね)で、「屋台囃子」や「四丁目」「ニンバ」などの演目を打ち鳴らす。

 同会の囃子は、川越まつりを代表する囃子の三大流派(王蔵流、芝金杉流、堤崎流)のうち堤崎流だ。ただ、同じ流派が同じ曲を奏でても、囃子会によって響きはまちまち。誇りを胸に、囃子会ごとに最上の音色をつくり上げていく。その中で地元への愛着、連帯感がはぐくまれている。

 1968年に上尾市堤崎の囃子連から祭り囃子を継承し、練習を始めた一期生の望月清志さん(69)は「生まれた時分からあった川越まつりは、なくてはならない祭り。年1回、思い切り囃子を演奏できる舞台」と力を込める。

 同囃子会は、蔵造りの町並みで知られる一番街の周辺住民ら40人ほどで構成している。子ども会員は女の子が中心で、まつりに長年携わってきた祖父とともに太鼓をたたく女の子の姿も見られる。

 小学4年生の新井芙杏さん(10)は祖父吉司さん(68)と一緒に太鼓を練習していた。「おじいちゃんに家でも教わってきた。一緒に頑張りたい」。その横で吉司さんは「孫が川越まつりに関心をもってくれてうれしい」と目じりを下げる。自分が持っている囃子の道具を、芙杏さんが将来引き継いでくれることを願っている。

■今年は18台の山車が登場

 【メモ】川越まつりでは、二層の鉾と人形からなる山車が巡行する。全部で29台であり、年によって巡行される数は前後し、今年は18台。最古の山車は1862年製作の羅陵王の山車(仲町)で、県指定有形民俗文化財。ほかにも今年巡行するうち県有形民俗文化財に指定されている山車は、秀郷の山車(喜多町)、翁の山車(幸町・雪塚会)、小狐丸の山車(幸町・金山会)、弁慶の山車(志多町)、山王の山車(元町二丁目)、三番叟の山車(六軒町)。

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