埼玉新聞

 

<台風19号>県内で2人死亡、一時3万人が避難 18河川が決壊や氾濫、床上浸水は5市町で512件

  • 救助隊にボートで救助される特別養護老人ホームの入居者ら=13日午後4時ごろ、川越市下小坂

 12日夜に関東地方を通過した台風19号による影響で、県内では鳩山町の女性と東松山市の男性の計2人が死亡したほか、河川の氾濫で大規模な床上や床下浸水などの被害が発生した。越辺川や大谷川などが氾濫した川越市では、浸水した特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」の入居者が一時孤立した後に救助され、近隣の小中学校に移送された。ほかに上尾市の特養など4カ所の介護施設で浸水があり、入居者らは避難した。避難所は13日午前8時時点で63市町村の1076カ所設けられ、3万147人が避難した。

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■県、自衛隊に派遣を要請

 県警や消防によると、12日午後7時半ごろ、鳩山町赤沼の内川橋で同町の住民の女性(69)が全身水に漬かり、うつぶせの状態で倒れているのを通行人が発見。女性は心肺停止により死亡した。また、13日午前、東松山市正代で冠水していた車の運転席から男性(70)が意識不明の状態で発見され、その後死亡が確認された。発見場所は田園地帯だが、大雨により水没していた。

 県は13日午前8時半、陸上自衛隊に人命救助、給水支援で派遣を要請。二瀬(秩父市)、下久保(神川町)両ダムの放流は見送った。

 気象庁によると、11日午前11時~13日正午まで秩父市浦山では680ミリ、ときがわで603ミリの雨量を記録。18の河川が決壊や氾濫し、床上浸水は川越市で201件、東松山市で240件など5市町で512件、床下浸水は越谷市の100件など8市町で509件に上った。東秩父村や秩父市などの26カ所で土砂崩れが確認された。

 ライフラインは13日午後4時時点で、停電がさいたま市西区や東松山市など10市町で約2千軒。秩父市や東秩父村など4市町村では午後6時現在も断水が続いており、約1568世帯に影響が出ている。鉄道ではJR東日本各線などで遅れや運休が出た。湘南新宿ラインは終日、運休した。

 大野元裕知事は13日、さいたま市浦和区の県防災センターで災害対策本部会議を開き、「人命を第一に救助を迅速に行ってほしい」と指示した。

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