埼玉新聞

 

<台風19号>ピオニウォークなど浸水 甚大な被害の東松山、坂戸、川越で知事が意見交換「痛切な叫び」

  • 新江川の決壊現場を視察する大野元裕知事=16日午前、東松山市古凍

 大野元裕知事は16日、台風19号で甚大な被害を受けた東松山、坂戸、川越の3市を視察し、各地の被害状況を確認するとともに、各市長と意見を交換した。視察を終えた大野知事は「未曽有の災害とは思っていたが、その爪痕をまざまざと確認した」と語った。知事は17日、秩父市の被災現場を視察する。

 大野知事は午前9時半から、東松山県土整備事務所で被害状況の説明を受けた後、東松山市内で堤防が決壊した新江川と建物の1階が浸水した商業施設の「ピオニウォーク東松山」を視察した。

 新江川の現場では、既に改修作業が始まっており、東松山県土整備事務所の担当者から説明を受けた。地元の関係者らには「早急にしっかり対応したい」と話していた。

 視察後、市役所で市の被害状況の説明を受け、森田光一市長と意見交換を行った。森田市長の支援要請に、大野知事は「(共に)しっかり頑張りましょう」と話した。

 午後には1階が床上浸水した坂戸市の県営坂戸東坂戸住宅を視察、坂戸市役所で石川清市長と意見交換。浸水によって入居者ら約120人が一時取り残された川越市の特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」を訪れ、被害状況を確認した。大野知事は取材に「市と県と国とがしっかりタッグを組んで被災者をケアし、施設側の負担が大きくならないように努めたい」と話した。

 同施設の片岡正雄理事長は「入居者が戻れる環境を整えるため、備品購入や建物修理を一刻も早く進めたい。各業者との契約がスムーズに進められるよう、行政にも協力してほしい」と知事に要望した。

 大野知事はその後、川越市役所で同市の災害対策本部会議で市職員を激励し、川合善明市長と意見交換した。

 視察後、記者団の取材に応じた大野知事は「今、実際に困っている方について、県が市をどういう形で後押しできるかということを痛切な叫びとして、市長さんたちから県に支援を依頼された。県だけではできないこともあるので、国県市をどうつないでいくかが短期的には一番大きな仕事と思っている」と述べた。

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