埼玉新聞

 

<台風19号>避難場所2カ所を開けず…幸手で避難勧告出すも鍵なく その後、危機管理防災課などで発見

  • 幸手市役所=幸手市東

 台風19号の影響で利根川が氾濫危険水位を超え避難勧告を出した幸手市で、鍵がなく避難場所2カ所を開設できなかったことが17日、市への取材で分かった。

 市は13日午前1時、災害対策本部を設置し、その後に避難勧告を発表。小中学校など市内19カ所を避難場所に指定したが、幸手看護専門学校(同市香日向)と日本保健医療大学(同市幸手)の2カ所で鍵が見つからず、施設を開けられなかった。

 市危機管理防災課によると、施設の鍵は所管部署が管理することになっていた。小中学校や体育施設などは市教委が開錠。県立幸手桜高校は高校職員と連絡が取れ、開放できた。

 開けることができなかった2カ所は非常時に備えて市が鍵を所有していたが、管理場所が分からなかった。関係者とも連絡が取れず、施設を開けることができなかった。

 看護学校は日頃、市民も使用する図書館と体育館を開放したが、洪水に対応する2階以上の施設を開けられなかった。2カ所とも職員が避難に訪れた市民を別の避難場所に誘導するなどした。鍵はその後、契約管財課と危機管理防災課でそれぞれ見つかった。

 市は当初、大雨による浸水被害を警戒し、利根川の氾濫は想定していなかった。避難場所の開設手順について、職員間で認識していたものの、マニュアルはなかったという。

 市危機管理防災課は「幸手で初の避難勧告だった。2カ所は通常、市が管理していない場所。避難場所として中に入るノウハウがなかった。今後、プロセスの見直しや連絡体制の充実を図りたい」としている。

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