埼玉新聞

 

<台風19号>仮設でもいい…大水車動かし、来館者の笑顔見たい 川の博物館、再開に向け作業急ぐ

  • 流されて跡形もなくなった県立川の博物館の「かわしろうばし」=寄居町小園

  • 流される前の「かわしろうばし」(県立川の博物館提供)

 台風19号の影響で、本館とレストハウス、大水車の本体以外は全て水没した寄居町小園の県立川の博物館。屋外施設の利用ができなくなり12日から臨時休館で、現在も再開のめどは立っていない。スタッフらは来館者の笑顔を見るため、大水車を早く動かして復活させようと再開に向けて作業を急いでいる。

 荒川沿いに位置している同館によると、荒川の水面から7~8メートル水位が上がったという。台風が通り過ぎた13日に水はほとんど引いた。ところが流れ付いた土や流木、ごみなどが大量に残った。1997年8月の開館以来、今までにない大きな被害という。

 約300台分の駐車場は被害を受け、入場口から本館に行く宮川に架かっていた「かわしろうばし」も100メートルほど流され、雑木林にぶつかって止まったままだ。平山良治館長は「ボートがゆっくりと浮き上がるかのように流された」と話す。

 2018年2月にリニューアルした「荒川大模型」は陥没した場所もあり、ミニ水族館ではウナギやカメも流され、子どもから人気を集めるウオーターアスレチック「荒川わくわくランド」も水没した。この夏、再び日本一に返り咲いた同館のシンボル大水車は、地下のポンプ室が水没し、水を上げるポンプが壊れて動かない。それでも予約をしていた学校の見学は本館のみの見学で受け入れている。

 スタッフの一人横川遥さん(30)は「できることをしてお客さん、仲間のスタッフの笑顔が見たい。そういう思いで片付けてます」、長谷川清敬さん(31)も「少しでも外の施設が使えるようにきれいにしたい」と再開を楽しみに活動している。平山館長も「まずは第1駐車場を整備し、仮設でもいいから大水車を動かして来館者を出迎えたい」と話していた。

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