埼玉新聞

 

不倫相手と再婚望み、自宅放火で妻子殺害…元夫に再び無期求刑 弁護側は「妻が放火の可能性」/地裁

  • さいたま地方裁判所=さいたま市浦和区高砂

 志木市で2008年、自宅に放火して妻子を殺害したとして、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた、会社員の元夫(45)の差し戻し裁判員裁判の論告求刑公判が23日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。検察側は一審と同様、無期懲役を求刑、弁護側は改めて無罪を求めて結審した。判決は31日。

 論告で検察側は「妻には子どもを巻き込んで自殺する動機がなく、火が拡大するために工夫が必要な今回の火災を起こすことは不可能」と指摘。不倫相手との再婚を望んだ被告が、再婚の障害になる妻子を殺害しようと考えて犯行に及んだとして「動機も身勝手で強い非難に値する」と断じた。

 弁護側は「被告に妻子を殺害するほどの強烈な動機は認められず、犯行発覚の可能性もある不確実な方法で放火をするのは不合理」と指摘。「『夫に見捨てられるかもしれない』という不安から妻の病状が悪化し、自ら放火した可能性がある」と無罪を主張した。

 15年3月の一審さいたま地裁判決は「被告が犯人であることには合理的疑いが残る」として無罪判決を言い渡した。二審東京高裁判決は一審判決の事実誤認を指摘。審理を差し戻し、17年2月には最高裁が弁護側の上告を棄却して差し戻しが確定した。

 起訴状などによると、元夫は08年12月3日午前5時ごろ、志木市中宗岡3丁目の当時の自宅に放火して、妻の荒木奈穂子さん(33)と娘の真弥ちゃん(4)=年齢はいずれも当時=を殺害するなどしたとされる。

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