自転車の女性が車と衝突…県内で合宿中の豪・柔道チーム、素早い連携プレーで女性を救助 上尾署が感謝状
柔道の練習合宿のため、県内を訪れていたオーストラリアの柔道チームが、人命救助に一役買った。遭遇した交通事故現場で、日頃のチームワークを生かして迅速で的確な救護活動をし、被害女性を救助。2020年の東京五輪・パラリンピックが縁で来県していたチームの"殊勲者"たちに、上尾署から感謝状が贈られた。
25日に同署で行われた贈呈式で、感謝状を受け取ったのは「柔道オーストラリアカデ世代ナショナルチーム」のコーチを務めるカイリー・コーニグさん(43)と同ベンジャミン・ドネガンさん(35)、マネジャーの木村仁さん(45)の3人。
同署によると、3人は21日午後6時45分ごろ、柔道の練習を終え、選手と共にさいたま市内にある練習場から伊奈町にある宿舎に向かっている途中、自転車で横断歩道を渡っていた女性(64)が乗用車と衝突する事故現場に遭遇。大きな音で事故に気付いたカイリーさんがマイクロバスを運転していた木村さんに車を止めるように話し、反対車線で倒れている女性の元に駆け寄った。
オーストラリアで警察官をしているというカイリーさんが、意識がもうろうとする女性の気道を確保し、ベンジャミンさんはカイリーさんの指示でタオルを用意。木村さんは警察官が到着するまでの間、渋滞する車の交通整理を行った。女性はその後、病院に搬送。一命を取り留めた。カイリーさんの人命救助の知識と仲間の素早い行動の"連携プレー"で実現した救護劇だった。
同チームには将来、五輪出場を目指す若い世代の選手が所属。昨年11月に県や上尾市などと東京五輪の事前キャンプを行う覚書を締結していたことが縁で13日から2週間、県内を訪れていた。帰国数日前という中で起こった出来事に、カイリーさんは驚いた様子を見せながらも「事故発生から数分で対処することができ、女性が無事で本当に良かった」と安堵(あんど)した様子。ベンジャミンさんは「カイリーさんが救急処置の方法を心得ていたおかげで行動できた」と振り返った。
同署の安達英明署長は「連携プレーがなければ二次的な事故が起こってもおかしくない状況だった。3人がいたからこそ的確な判断ができた」と3人の功労に感謝を伝えた。