埼玉新聞

 

<豚コレラ>ワクチン接種、埼玉は11月開始へ 秩父、本庄エリアなど早急に接種

  • 養豚場に続く道路は通行止めになった=9月17日午後0時35分ごろ、小鹿野町般若

 大野元裕知事は28日、県内でも感染が確認された豚コレラ対策として、豚に抵抗力を付けるワクチンを接種するため、31日に開かれる臨時議会に手数料の受益者負担を定める県手数料条例改正案と、約3453万円の接種費用を計上した約4395万円の2019年度県一般会計補正予算案を提出すると発表した。議会で議決されれば、11月1日にも接種が開始される。

 大野知事は28日の定例会見で、「県は接種の条例を撤廃しており、手数料を取るために条例が必要」と述べた。

 国は15日、各知事の判断でワクチン接種を行えるように特定家畜伝染病防疫指針の一部を変更。群馬県など7県が27日までに接種を開始した。

 一方、埼玉県では、2000年に国が予防的ワクチン接種を原則禁止したことを受けて同条例を見直し、ワクチン接種についての手数料規定を削除していた。今回、接種を実施するため条例を改正する必要が生じた。

 県財政課などによると、接種手数料は1頭当たり1回320円。国庫負担分を差し引いたワクチン代など諸費用が含まれる。養豚農家の負担軽減のため、7万8千頭分の初回接種の手数料は免除となる。現在、県内には約9万頭の豚がいる。

 接種は豚コレラに感染した養豚場がある秩父市、本庄市を含む児玉、大里、比企、入間郡から接種を実施。終了後、それ以外の地域で接種を行う。県畜産安全課は「特に感染リスクの高い秩父市、本庄市エリアでは早急に接種を行い、11月5日までに完了したい」と見込んでいる。

 県内でも甚大な被害が出た台風19号関連では、中小企業支援の融資限度額と、暴風雨などで損傷した農業設備の改修などのための融資枠も5億円分拡大し、利子補給分として942万円を補正予算案に計上した。補正後の本年度の予算累計額は1兆8972億7524万6千円となる。

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