埼玉新聞

 

うずくまる男性が心肺停止…急ぐ救急車バックし赤色灯が壊れて搬送17分遅れる その後死亡、家族におわび

  • 【地図】富士見市

    救急車が搬送中の接触、赤色灯の損壊が発生した富士見市

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 富士見市とふじみ野市、三芳町を管轄する入間東部地区事務組合消防本部は26日、心肺停止の男性を救急搬送中、救急車の接触事故により病院到着が約17分遅れた、と発表した。男性は病院到着後、死亡が確認されたが、到着の遅れと死亡との因果関係は不明。同本部は「救急車で搬送中は男性に対して、器具を使用した気道確保や除細動などの蘇生措置を続けていた」としている。

 同本部によると、今月25日午前9時20分ごろ、富士見市の男性(70)方から「男性が倦怠(けんたい)感を訴えている」と119番通報があった。救急隊員が駆け付けたところ、男性方玄関で男性がうずくまった状態だった。隊員が救急車内で観察したところ、心肺停止状態であることが判明。病院に向かったが、同市内の市道交差点で左折する際、切り返しのために後退したところ、道路脇の店舗ひさしに接触し、救急車後方の赤色灯が損壊した。

 このため、救急隊員は別の救急車を手配し、事故現場で代わりの救急車に男性を移し替えて搬送した。午前10時35分ごろ、志木市内の救急病院に到着した。事故による搬送時間の遅れが約17分あった。病院到着直後、男性は重症と診断されたが、その後死亡が確認された。

 男性は独り暮らし。男性方を訪れていた地域包括ケアマネジャーが男性の様子の異変に気づき、119番通報したという。

 同本部は「搬送中の交通事故による病院到着の遅延はあってはならないこと。傷病者と家族に深くおわび申し上げる。救急隊員に対する安全確認の徹底を周知するとともに再発防止に取り組んでいきたい」としている。
 

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