JAグループ、子ども食堂に初の野菜提供 本庄、深谷、熊谷で事業化が実現 全県的なネットワーク拡大へ
県農業協同組合中央会(若林龍司代表理事会長)、全農県本部は、農産物直売所で販売している野菜を子ども食堂に活用してもらう事業を20日から本格的にスタートさせた。JAグループが子ども食堂に野菜を提供するのは初の取り組みで、食品ロスの削減と地域の福祉支援を目指している。
20日は、埼玉ひびきの(本庄市)、くまがや(熊谷市)、花園(深谷市)の3農業協同組合(JA)が本庄市、深谷市、熊谷市の子ども食堂に野菜を供給する枠組みが決まり、セレモニーが行われた。
JAの農産物直売所では生産者から出荷された野菜などが販売されているが、日によっては完売できないこともあり、食品ロスの圧縮と貴重な農産品を有効活用できないか全農県本部で、子ども食堂への供給が可能かを検討。子ども食堂への供給は、安定した産品の確保と搬入ルートの構築が欠かせないため、地域JAに対して全農県本部が協力を求めていた。
この要請に対して今回、ひびきの、くまがや、花園の3JAが賛同し、準備を進め、事業化が実現した。今後は県北以外のJAにも協力を呼び掛け、全県的なJAと子ども食堂のネットワークを広げていきたい考えだ。
子ども食堂は、食事だけでなく多世代が交流する地域のコミュニティーの場にもなっている。県内には2月末現在、173カか所あり、現在も増え続けている。今回の取り組みは、子ども食堂開催日に合わせ、ボランティアらが直売所まで野菜を取りに行くことで、搬入の負担を軽減した。
20日には、深谷市の花園農産物直売所で贈呈式が開かれた。
県子ども食堂ネットワーク加盟者代表で「ふかやこども食堂まめっこ」代表の田中一永さんは「地域で子供を支えてくれる仕組みができたことに感謝している。子どもたちも大勢で食事を取ると家では食べない野菜も食べられる」と説明。
JAくまがやの吉田公一代表理事組合長も「意義深い取り組み。直売所での食品ロスをなくし、安全安心な埼玉の野菜を地域の子どもたちに届けたい」と話した。