深谷市の住宅で26日、遺体が見つかった事件で、深谷署は27日、母親の遺体を自宅内に遺棄したとして、死体遺棄容疑で深谷市戸森、長男で無職の男（53）を逮捕した。母親と2人暮らしで「遺体の処理に困った」と容疑を認めている。

　逮捕容疑は7月下旬、自宅1階の押し入れに母よりさん＝当時（83）＝の遺体を遺棄した疑い。

　署によると、市職員から今月26日、よりさんと連絡が取れず安否確認してほしいと要請があり、駆けつけた署員が遺体を見つけた。目立った外傷はなく、署は死因や詳しい経緯を調べる。

■8月に母が姿を消し、男は訪問を断る

　深谷市長寿福祉課によると、今年2月中旬ごろ、近所の人から「大声がする」と情報が寄せられ、市と地域包括支援センターの職員計3人がよりさん宅を訪問したが、よりさんと男は「そういうことはない」「変わったこともない」と説明していた。

　市側は月1回の見守り活動を続け、7月26日にはセンター職員が2人を確認していたが、8月中旬に民生委員が「近所の人がよりさんと会えないと言っている」と同課に相談した。

　男は同月下旬から「親戚の家に行っている」と職員の訪問を断るようになり、市は県内に住むよりさんの長女に事情を話し、警察に届け出ることを勧め、事件が発覚した。

　近所の男性は「よりさんは静かな人で、近所の女性たちも『散歩する姿を見なくなった』と話していた」と振り返った。母親がよりさんと一緒にホウレンソウ栽培農家へ収穫の手伝いに行っていたという女性は「優しくて口数が少ない人だった」と話していた。