市民会館うらわ、50年の歴史に幕 浦和駅近くの複合施設へ機能移転 跡地はNHKさいたまの移転候補
さいたま市は同市浦和区仲町の公共施設「市民会館うらわ」を2021年3月末で供用休止にする方針を決め、27日開会の12月定例会に条例改正案などを提案した。
同会館は「浦和駅西口南高砂地区第一種市街地再開発事業」で整備される同駅近くの複合施設へ機能移転する方針が決定しており、可決されれば同館は開館50年となる節目の年に幕を下ろすこととなる。
市民会館うらわは旧浦和市の市制施行37年の1971年2月11日、「浦和市民会館」として旧市役所西側の県地方庁舎跡地に開館した。
敷地面積3276平方メートル、集会室などのある高層棟は地上8階地下1階建て、ホールなど正八角形の低層棟は地上2階地下1階建てで、オープン当時は結婚を考えるカップル向けの「結婚相談室」を備えた結婚式場としても人気を集め、「文化の殿堂」とも称された。
完成から48年余りが経過し、昨年度は年間約22万人が施設を利用している。しかし建物や内部の設備が老朽化しており、17年9月の市都市経営戦略会議で機能移転方針が決定。
今年9月の同会議では、JR浦和駅の南西徒歩1分の場所で、24年度中の供用開始を予定する地上27階地下2階建て、住宅や商業施設などが入る複合施設内での整備方針を固めた。
新施設は650席程度の中規模ホールや、多用途のスタジオ機能などを持ち「市民の文化芸術活動の水準向上のため、人材育成を積極的に取り組む施設」を目指すとしている。
現施設の跡地利用についても議論が進められ、昨年3月にはNHKさいたま放送局から同局の移転候補地として譲渡の可否などについて協議したいとの申し入れがあり、市は了承。具体的な協議はこれからだという。
28日の市議会本会議では議案に対する質疑が行われ、各会派の議員から「供用休止期間の市民サービスや市民の不安への対応は」「なぜ現時点で条例を改正するのか」といった質問が出された。これに対し執行部は「周囲の市施設を案内する」「周知期間が必要なので改正する」などと答弁した。
市スポーツ文化局は「しばらくの間、市民にはご不便を掛けるが、新たな施設では機能の充実を図り、より親しまれる施設にしていきたい」と話している。