埼玉新聞

 

<熊谷6人殺害>こんな理不尽ない…妻子殺害された男性怒り 5日に控訴審判決「ぬくぬくと生きている」

  • 多くのパトカーが集まり騒然とする事件現場=2015年9月16日午後6時半ごろ、熊谷市石原

 熊谷市で2015年、小学生2人を含む男女6人が殺害された事件から約4年3カ月。強盗殺人などの罪に問われ、一審さいたま地裁判決で死刑判決を受けたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告(34)の控訴審判決があす5日、東京高裁で言い渡される。妻子を奪われた男性(46)は全公判に参加し、死刑を訴え続けてきた。

 事件は15年9月14~16日にかけて発生。ナカダ被告は熊谷市内の3軒の民家に侵入し、小学生の姉妹2人を含む男女6人が殺害された。

 男性は事件で、妻加藤美和子さん(41)、小学5年の長女美咲さん(10)、小学2年の次女春花さん(7)=年齢はいずれも当時=を亡くした。

 強盗殺人などの罪に問われたナカダ被告は18年、さいたま地裁で開かれた公判で意味不明の発言を連発。刑事責任能力の有無が争われ、弁護側は心神喪失による無罪を主張したが、同年3月、死刑判決が言い渡された。

 弁護側は即日控訴。今年6月には東京高裁で控訴審が始まった。男性は被害者参加制度を利用して公判に参加。独り言を話したり、落ち着きなく座る被告の様子を見つめ続けた。8月の第2回公判で行われた被告人質問では、死刑判決を見直すか検討する手続きだということを理解しているか裁判官に問われると、ナカダ被告は「私を殺せばいい」などと発言。「自分が殺害したことが分かっているのではないか」。男性は怒りをにじませた。

 妻と娘が最後に何か言っていたか、なぜ殺されなければいけなかったのか―。控訴審で被告に直接問うことはかなわなかったが、9月に開かれた公判では意見を陳述。「仕事を頑張っていたのは家族のためだったが、今の私には頑張る理由がない。妻と娘は生き返らないのに、被告はぬくぬくと生きている。こんな理不尽はない」と死刑判決を求めていた。

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