埼玉新聞

 

車の運転中に接触した女性、その後死亡…運転手が不起訴 違法な免許取り消しと運転手が提訴、県に賠償命令

  • さいたま地方裁判所=さいたま市浦和区高砂

 県公安委員会の違法な運転免許取り消し処分で業務に損害を受けたとして、県内で運送業を営む70代男性が県を相手取り計約1900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、さいたま地裁であり、岡部純子裁判長は県に約203万円の支払いを命じた。

 判決などによると、男性は2011年10月25日、神奈川県内でトラックを運転中、路上にいた女性と接触。女性はその後死亡した。男性は自動車運転過失傷害容疑で現行犯逮捕されたが、横浜地検は嫌疑不十分で不起訴とした。

 県公安委員会は12年4月、男性に安全運転義務違反があったとして免許取り消し処分を下した。男性は処分取り消しを求めてさいたま地裁に提訴。地裁は15年7月、事故の状況が明らかでないとして処分取り消しを言い渡し、東京高裁で判決が確定していた。

 判決理由で岡部裁判長は、事故の目撃情報や防犯カメラ映像がなく、「男性が安全運転義務違反で事故を起こしたと判断できる資料はない」と指摘。「県公安委員会は追加で資料を収集せず処分した。職務上尽くすべき注意義務違反に違反しており違法」と述べ、男性の免許再取得費用や慰謝料などの請求を認めた。

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