埼玉新聞

 

所沢中1自殺、いじめ認定 学用品壊され、侮蔑的あだ名も…市教委が報告書公表 教職員の問題も指摘

  • 所沢市役所=所沢市並木

 所沢市内の踏切で2017年7月に自殺した市立中学1年の男子生徒=当時(13)=を巡り、市教委は13日、弁護士などからなる第三者委員会の調査報告書を公表した。自殺の原因について、侮蔑的なあだ名で呼ばれるなどのいじめがあったと認定した上で「勉強や部活動、友達関係、教師との関係など複数の要因があった」とした。また教職員の資質や連携不足の問題を指摘した。

 調査報告書では、男子生徒は複数のあだ名で呼ばれていたほか、父親から入学記念に贈られた学用品を壊されるなどのいじめを受けていたと説明。休み時間に読んでいた本をはやし立てられていたことも報告している。

 自殺の背景について、勉強面で画一的な指導を押し付けられたことや部活動の面では負荷が高いことに伴い、両方の面での苦手意識が高まっていったことを挙げるとともに「いじめを受けたことで自尊心が低下していった」などとした。

 教職員の資質の問題や連携のなさにも問題があると指摘した。

 学校が行ったアンケートで男子生徒は「要支援対象者」だったが、担任はこの結果について詳細に目を通していなかった。

 報告書では生徒への配慮の低さがあり、こうした積み重ねが男子生徒を追い詰めていった可能性があるとした。また男子生徒の変化に気付いていた教職員や心配を感じて声を掛けていた教職員もいるが、適切に横に広がっておらず情報交換も適切に行われていなかったとしている。

 調査報告書は事故後、いじめ防止対策推進法に基づき第三者委員会が調査を行い、昨年8月に遺族に報告書を提出。内容や公表の方法などについて協議を重ね、公表された。

 男子生徒の両親は報告書とともに公開された所見で「報告書を公表することで学校が抱える問題点を多くの方に共有してもらい、いじめや教師の理不尽な指導で心も体も傷つく子どもを生み出さないためには、どうすればよいかを考えてもらうきっかけにしてほしいと思う」と述べている。

 男子生徒は17年7月10日午前7時半ごろ、市内の西武池袋線踏切で列車にはねられ死亡した。男子生徒が踏切に進入した状況などから自殺と判断された。

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