フェンシングW杯出場、将来有望な女子フェンサーは与野高の16歳 東京、パリ、その次で「メダルを」
昨年11月にエストニアで行われたフェンシングのワールド・カップの女子個人エペに日本代表として出場した与野高校1年の高橋栄利佳選手(16)は、さいたま市で生まれ育った将来が有望なフェンサー。高校生ながら現在、日本ランキング10位の期待の星は「東京五輪にはもちろん出たい。でも、今の目標は、2024年のパリ五輪で入賞し、その次でメダルを取ること」と、未来のメダリストを目指している。
体を動かすことが好きで、ままごとや人形遊びよりも、外で元気に走り回ることが多かった活発な女の子だった。小学3年生の頃、県体育協会がジュニアアスリート発掘育成事業として行っていた「彩の国プラチナキッズ」に応募し、合格した。
プラチナキッズの活動の中で、さまざまな競技の体験教室に参加。4年生で出合ったのがフェンシングだった。だが、「剣を操って突くのが簡単そうで難しかった」と第一印象は、「絶対にやらないな」。ラグビーやホッケーなど、持ち前の身体能力の高さで最初からうまくできた競技の方が好きだった。
フェンシングの道に進むきっかけは、5年生で参加した国立スポーツ科学センター(JISS)のフェンシング合宿。ルールが分かり始めると、「面白いなあって。気持ちが変わった瞬間があった」。どんなことでも興味を持ったらとことんやる性格もあって、どっぷりはまった。
■負けず嫌い
6年生から本格的に始め、放課後にJISSで練習漬けの日々。「負けて悔しいから練習して、勝ってうれしくて。また負けて悔しいから練習しての繰り返しだった」。根っこにあったのは負けず嫌い。「自分で言いたくはないですけど、“1番”になるために努力した」と言う。
中学2年生で初出場した全日本選手権で格上の選手を破り、ベスト8入り。先輩たちが練習で相手をしてくれる機会が増え、「ファイティングしてもらって技を盗んだりした」と、急成長する。3年生の頃には、ジュニア(U―20)とカデ(U―17)の日本ランキングでトップに立ち、年齢制限なしのシニアでも一時トップ8入り。日本代表にも初選出された。
■エースの自覚
高校進学後も練習はJISSで行っているが、与野高校の一員として出場する高体連の大会では、「学校への恩返し」と「エースの自覚」を意識して結果にこだわっている。1月に新座市で行われた関東高校選抜大会では、エースとしてチームを初優勝へ導いた。
まだ、16歳の高校1年生。時には遊びたいと思うこともあるはず。だが、「剣の駆け引きが面白くて、1本でも突けたときの喜びが魅力」と、今はフェンシングに夢中だ。
2020年の東京五輪に出場したいという思いもあるが、焦らずにステップを踏んでいくつもり。「今の自分に必要なことをやって力をつけることが大事。とにかくレベルアップして成長していきたい」と、描く未来の姿に向かって、階段を駆け上がっていく。