埼玉新聞

 

大量注文も!ターミナル駅ではない三郷中央駅、乗降客が多くTX高架下でキッチンカー人気 三郷市が描く戦略

  • 子どもたちが遊ぶ「におどり公園」側で営業するキッチンカーは、親子連れや会社員などが利用

    子どもたちが遊ぶ「におどり公園」側で営業するキッチンカーは、親子連れや会社員などが利用

  • 子どもたちが遊ぶ「におどり公園」側で営業するキッチンカーは、親子連れや会社員などが利用

 三郷市は、首都圏新都市鉄道と連携し、つくばエクスプレス(TX)高架下を有効活用する実証実験に取り組んでいる。三郷中央駅に隣接する「におどり公園」側にキッチンカーを設置し、一帯のにぎわい創出を検証する試み。本年度末まで実施し、利用者のアンケート結果などを踏まえ今後の導入を検討する方針だ。
 
 2005年に同駅開業後、鉄道高架下の活用法について協議を重ねてきた同市と同社は、近年ニーズが高まっているキッチンカーの試験的導入を決め、昨年12月から営業を開始した。当初は、同社が事業者を直接募集し日程調整をしていたが、今月半ばから運用方法を切り替え、移動販売車の出店場所の提供や運営支援を行うプラットフォーム「モビマル」を運営するシンクロ・フードに委託した。

 「モビマル」に登録している約3千事業者のうち約600事業者が埼玉県内への出店が可能で、この中から出店の意思表示があった事業者の日程調整をしているという。現在は、地元のニーズを探りながら、バリエーションに富んだ事業所をそろえ週2回ほど営業。主に地域住民や通勤客をターゲットに、昼時と夕方の利用を狙う。同駅への試験的運用に参画した理由について、シンクロ・フード執行役員の太田明男さんは「ターミナル駅ではないが、乗降客数が多く、駅周辺に店舗が少ないため、売り上げが見込める」ことを挙げ、「TX沿線の高架下にはまだキッチンカーの出店はない。このテストマーケティングで期待する効果が得られれば、横展開していきたい」と話す。

 同事業に参加した事業所の一つ「お米物語」執行役員の高木宏輝さんは、「上野恩賜公園と比べてもコスパは良い」との手ごたえ。同公園は通常、1日の売上げが1万円に届くかどうかだというが、同駅では昼時までに1万円を超えたという。近隣企業からの大量受注もあり、「周辺に競合店が少ないのはメリットの一つ」だと話す。

 買い物客からの反応も上々で、「日替わりで店が変わればメニューのバリエーションが広がるので活用したい。公園側で営業してくれれば監視にもなるため、安心して子どもを遊ばせられる」と近隣マンションの住人夫婦(35)は歓迎する。孫を連れて買い物に来た服部恵子さん(54)も「多少値段が高くても特徴がある商品を提供してくれる店であれば利用したい」と今後の継続的な導入に賛同する。

 一方で、「場所が分かりづらい」との指摘が少なくなく、積極的なPRを望む声も聞かれた。高木さんは、「運営が順調な地域を見ると、地域住民や店舗が紹介の張り紙をしてくれたりと協力が得られるケースが多い」と地域の積極的な協力が必要なことを指摘した。

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