災害時すぐ食べられる「アルファ化玄米」開発、十文字女子大とNPO 偏った食事も防ぐ
2020/01/07/00:00
新座市の十文字学園女子大学で葉酸を研究する金高有里准教授(38)の研究室が、農薬も化学肥料も使わない田んぼで栽培した玄米とマコモタケを使い、産学連携で「マコモタケ入りアルファ化玄米炊き込みご飯」を開発した。災害への備蓄を念頭に、商品化に向けて地域のパートナー事業者を探している。
玄米とマコモタケは川越のNPO法人かわごえ里山イニシアチブ(増田純一代表理事)が栽培。増田代表理事(72)は2年前、生産物の活用策を金高さんに相談した。震災復興支援にも取り組んでいる金高さんは、学生らと災害時もすぐ食べられるアルファ化玄米の開発を進めた。
金高さんによると、震災直後の避難所では調理設備や支援物資が限られ、炭水化物に偏った食事になるという。そこで開発商品にはビタミンやミネラル、食物繊維の不足を補うために玄米を使った。
備蓄が主流のアルファ化白米と比べエネルギーは同じだが、ビタミンやミネラル、食物繊維は白米より豊富。さらに同じイネ科のマコモタケを加え、葉酸を増やした。お湯や水を加えれば、調理せずに食べられて栄養も取れるという。
玄米のアルファ化は温度条件が難しく、あまり流通していない。そこで玄米の食感を生かし食べやすく調理するため、管理栄養士を目指す同大4年の倉田可奈子さん、加藤伶奈さん、発知菜摘さんが、金高さんの指導の下、1年半かけて約80ケースの調理を試し、調理法を完成した。研究成果を2月の日本災害医学会で発表する。
課題はパートナーになる地域事業者を探し、パッケージの機能性と保存性のテストをすること。「普段に白米も玄米も食べるおいしいお米の食文化を広めたい」と倉田さんらは意欲を見せている。
問い合わせは、同大の金高研究室(電話048・477・0555)へ。